【産業天気図・パルプ・紙】原材料は価格安定も、洋紙低調と円高が痛手、相変わらずの「曇り」続く

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 王子に限らず業界は海外市場に活路を求めようとしている。今年は業界の「国際化元年」といってもよく、海外企業の買収や資本提携、輸出強化に乗り出している。北越紀州製紙も新潟工場の最新鋭抄氏機の稼働率アップを通した採算改善との両にらみで、アジア輸出を4倍の年間20万tに急増する。

そこにまたひとつ頭の痛い問題。円高だ。これまで紙パ業界にとって円高はメリットのはずだった。王子製紙で1ドル1円の円高は5億円、日本製紙グループ本社は4億円の増益要因だ(両社とも前提レートは95円)。が、喜んでばかりもいられない。ひとつには輸出採算が急悪化していること、そしてもうひとつがこれ以上の円高が進めば輸入紙が雪崩れ込んでくる可能性があるからだ。

輸入紙の国内シェアは製品によって5%程度から15%程度。中国で需給が緩めばいつ怒涛のように流入してくるかもしれず、価格の軟調傾向は歯止めどころか加速しかねない。「これ以上の円高は利益の見直しではすまず、売上高段階から見直さなければならない可能性もある」(王子製紙)という。
(山本 隆行=東洋経済オンライン)

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