2代目に継承、JR四国「伊予灘ものがたり」の秘訣 乗務員以外に人気支える「おもてなし役」の存在

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他方、「伊予灘ものがたり」の人気の秘訣は、こうしたハード面だけでなく、ソフト面にもある。といっても、観光列車ではもはや定番となった、乗務員によるサービスのことではない。「伊予灘ものがたり」に乗ると、駅員やJR四国のスタッフだけでなく、沿線で多くの人々が手を振って出迎えてくれることに気づくだろう。中には、大きな横断幕や旗を掲げたり、凝った仮装をしたりする人の姿も見られる。もはや、「伊予灘ものがたり」の魅力の1つと言っても過言ではない。

こうした人々は、もちろんJRから依頼されて手を振っているわけではない。例えば、野生のタヌキが顔を見せることで知られる予讃線の五郎駅では、着ぐるみを着た「たぬき駅長」が列車を出迎えている。この駅長は2014年の運行開始当初から独自で取り組みを続けているのだが、次第に参加する人が増え、今では20人近くが集まることもあるという。

たぬき駅長「住民の交流の場」

以前、筆者が「伊予灘ものがたり」の撮影の合間に同駅を訪れると、集まった人々が“お茶会”の真っ最中だった。「最初は列車が珍しくて出迎えに来たんです。こちらが手を振ると、列車に乗っている皆さんも笑顔で手を振りかえしてくれるので、それがうれしくて。でも、何度も続けているうちに、みんなで駅に集まること自体が楽しくなってきました。今では、住民同士の交流の場にもなっています」と、たぬき駅長が教えてくれた。

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