学習障害だった彼女が26歳以降に得た人間の底力 「脳は生涯変化する」身をもって証明してみせた
たとえば彼女の書く文字や数字は、鏡に映したように反対向きになってしまった。6が9になったり、bがdになったり。書く方向も左から右ではなく、右から左だった。そんな子だったから小学校では、「自信不足」「質問に答えることに消極的」「読解力にも問題があるとの評価を受けることになった。
「わかる」がわからない
学年が上がるごとに困難の度合いは増していき、先生からの評価も辛辣なものになっていった。「算数の問題を解く能力が極端に弱い。書くことは全体的に非常に遅く、不注意でだらしない。作文にはもっと注意深さが必要」。
親たちも、1人娘がほかの兄弟たちと違っていることに気づいていた。「この子はどこかバランスを欠いている。簡単なことができなかったり、わかって当然のことがわかっていなかったりする」と。
8年生(中学2年生)の時点で算数問題は解けるようになっていたが、答えを出すまでには多くの時間が必要だった。高校に入学するころには、概念的なものをうまく理解できないことが、彼女のなかでさらに明確化していった。推論したり、論理的に考えたりすることがまったくできなかったのだ。
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