半導体の地政学に劇的変化をもたらすNTTの技術 光による情報処理でデータ社会の変革目指す

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社長の澤田純は「GAFAがライバル」と語るが、GAFAと規模を競うという意味ではない。電気から光へとゲームチェンジを仕掛け、GAFAが支配するデータ社会のあり方を質的に変えるのが真意である。

世界でただ一国、日本が光電融合素子を生産できる国になれば、日本は半導体バリューチェーンの新たな要衝となるだろう。NTTの技術には半導体の地政学の地図を塗り替える潜在力がある。そのためには、日本の国内に工場がなければならない。NTTがメーカーである富士通と組む理由が、ここにある。日本の安全保障だ。

インターネットの殻を破る

光電融合技術は、新しい半導体チップをつくるだけではない。この技術でインターネットの仕組み自体が変わる可能性があるからだ。

そもそもインターネットは誰がつくり、誰が運営しているのか――。私たちはインターネットを所与のインフラとして疑いなく使っているが、実は技術的には限界に近づいている。個々の情報端末に「IPアドレス」と呼ばれる住所を割り当て、これを宛先や送り主の名札とし使うのが、現在のインターネットの仕組みだ。もともとは、通信の物理的な制約が大きかった1980年代に米国の国防総省が中心となって開発した軍事技術である。

だが住所の番地の数には限りがある。パッチワークのように後から工夫を重ねてなんとかしのいではいるが、データ流通が爆発的に伸び続ければ、いずれはパイプのどこかで情報が詰まるときがくる。

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