ビジョナリーカンパニー(3) 衰退の五段階 ジェームズ・C・コリンズ著/山岡洋一訳~規律とモラルがあって衰退からの回復が可能


 この衰退の五段階モデルからも、また前二作で導き出された偉大な企業への飛躍の法則からも導かれる、「規律」の重要性をしっかり押さえておきたい。評者も最近、世界中至る所でこの規律、そしてモラルの欠如を強く感じている。特に、金融危機で露呈した投資銀行やヘッジファンド等の規律やモラルのなさにはあきれるばかりだ。この規律とモラルがない限り、偉大な組織や社会はおろか、健全な組織や社会もありえない。

この衰退の五段階モデルはまた、企業だけでなく国家にもよく当てはまる。日本はまさにその好例で、評者の分析では既に第四段階の末期の可能性が高い。ここでも鍵となるのは規律とモラルだ。高いモラル、謙虚さと不屈の精神を持ち合わせた「第五水準のリーダーシップ」が必須だ。厳しい現実を直視する規律、規律ある考えを持ち、規律ある行動ができる、規律ある人材が、各人の責任の範囲内で自由に行動できる規律ある文化……、これらが、今まさに日本の政治家や官僚、企業経営者、さらには日本社会全体に強く求められている気がしてならない。

James C. Collins
米コロラド州ボールダーで経営研究所を主宰。企業と非営利団体の指導者に助言するコンサルタントとして活躍している。米スタンフォード大学ビジネス・スクールで研究者、教育者としてのキャリアを積む。ピーター・ドラッカーの教え子。

日経BP社 2310円 383ページ

  

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