新内閣発足後初の民主党税制改正PT総会開催、11月末メドに税制に関する提言取りまとめへ

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新内閣発足後初の民主党税制改正PT総会開催、11月末メドに税制に関する提言取りまとめへ

来2011年度の税制改正項目について話し合う民主党の税制改正プロジェクトチーム(PT)の総会が22日、開かれた。菅直人・改造内閣発足後では初の開催となった。

冒頭、財務副大臣に就任した五十嵐文彦座長に代わって新座長に就任予定の中野寛成衆議院議員が会議の冒頭にあいさつした。「税制は国民から喜ばれたり期待されたりすることの少ない分野だが、公正な、そのときの政府の目標に整合性をもって説明のつく仕組みにしないと、より不信感を増幅させる。11月末までの約2カ月間、連日連夜専念する心構えで協力を」と呼び掛けた。その後、財務省と総務省の税制担当者から、国税と地方税の現状や、租税特別措置に関してヒアリングを行った。

総会に出席した議員からは、今後の議論のスケジュールや消費税に関する議論、租税特別措置に関する質問が出た。中野・次期座長は、「去年と今年の違いは衆参のねじれがあり、国会対策を念頭に置かざるを得ない。拙速はいけないが、できるだけ急がなければいけないという切迫感をもって対応していきたい」と述べた。

また、租税特別措置について、中野・次期座長は「歴史的使命を終えたもの(租税特別措置)は退場してもらい、新たに必要な分野は大胆に提言していくという、発想の柔軟性が党サイドに求められる。皆さんには建設的提案をよろしくお願いしたい」と述べ、租税特別措置を大胆に統廃合していく考えを示した。

同PTは今後、民主党の各部門会議からヒアリングを行い、11月末をメドに政府税制調査会に提出する「提言」を取りまとめるため、有識者などからのヒアリングも行っていく予定だ。法人税については10月中旬以降から議論を本格化させる。ただ、社会保障制度や税制抜本改革についての中長期展望については別途プロジェクトチーム(座長は藤井裕久・衆議院議員)を設けて議論することになっており、消費税について、「この場(税制改正PT)では踏み込んだ議論をしない」(中野・次期座長)方針だ。

消費税の与野党協議については、民主党の岡田克也幹事長が同日、「野党と議論するのは、ある程度民主党としての考えがまとまった上でのことで、それがまだまとまっていない段階では協議にならない。それぞれの政党が自らの考え方を明らかにしたうえで協議していくことが望ましい」と述べている。消費税に関する議論が国会で動き出すには、まだ時間がかかりそうだ。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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