好調マルエツ、イオン傘下でも戦略は真逆 中間決算の営業利益は前期比2.3倍!

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都市部ではイオンを追撃?

なぜなら、イオンはあくまで低価格を重視し、作らない化に対応した総菜を重視しているからだ。同じグループ内でも戦略は180度異なり、マルエツの営業利益が2.3倍に拡大したのに対し、イオンは上期に総合スーパー事業が131億円の営業赤字、食品スーパー・ドラッグストア・小型店は前年同期比で8割減益となり、業績面で大きく明暗を分けた。

都市型の小型スーパー「マルエツプチ」は今後も積極展開の方針(撮影:尾形文繁)

戦略の違いは商品面だけではない。イオンは建設コスト上昇を背景に大型モールの出店を先送りすることを表明している。投資規模は異なるが、マルエツは今期10店に続き、来期も18店の出店を予定する。「確かに建設コストは、10~15%程度は上昇し、人が集まりにくく工期が遅れがちだ。だが、現在は長いデフレから脱却し、唯一、(業容を)拡大できる機会。何もしないリスクよりも何かをするリスクを取るべきだ」(上田社長)と出店意欲が旺盛だ。

また現在58店で展開する都市部小型スーパー「マルエツプチ」を早期に100店に増やし、年商500億円(14年2月期は290億円)を目指すことも今回表明した。これには、すでに500店を突破したイオンの同業態「まいばすけっと」を早期に追撃しようという意欲を感じさせるものがある。我が道を行く戦略で好決算をたたき出した”身内”のマルエツを、本業が赤字に陥ったイオンの岡田元也社長はどのように見ているのだろうか。

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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