初公開!全国「エコ鉄道会社」ランキング 電力使用効率が良い会社、悪い会社は?

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次は、大手私鉄間で比較してみよう。東武鉄道、京王電鉄、相模鉄道の3社は1車両キロ当たりの電力の数量としてともに1.9キロワット時を記録し、1位で並ぶ。平坦がちな線路、効率のよい電車、省エネルギー性に配慮した運転といった理由が考えられる。

私鉄は阪神が首位、地下鉄は意外にも札幌市が最下位

1車両キロ当たりの電力費の首位は阪神電気鉄道の24.8円だ。この数値は1キロワット時当たり11.9円と比較的安価な電力費、そして1車両キロ当たりの電力の数量も2.1キロワット時と良好であったことによる。

一方、1車両キロ当たりの電力の数量、同じく電力費とも東京急行電鉄と京阪電気鉄道とが下位となった。下位の要因は両社とも路面電車の営業も行っているからかもしれない。路面電車はきびきびとした運転が求められ、速度が低い代わりに加速する回数や時間が多く、電力の数量の増加を招いたと考えられる。

さて、最後に地下鉄間を比べてみよう。で注目すべきは1車両キロ当たりの電力の数量、同じく電力費とも成績上位の各社ではない。

1車両キロ当たりの電力の数量が4.2キロワット時と、札幌市が突出して悪いのは明確な理由がある。今回取り上げた鉄道事業者のなかで札幌市だけすべての電車がゴムタイヤで走行する方式を採用しているからだ。ゴムタイヤ車両は登坂能力に優れているという長所をもつ反面、鉄の車輪で走行する車両と比較すると摩擦が大きい。このため、使用する電力の数量はどうしても増えてしまう。

札幌市は地下鉄を整備するに当たり、線路に急坂を設けて建設費を節減する代わりに電力の数量や電力費の増加を容認した。とはいえ、他社と比べて1車両キロ当たりの電力消費量、同じく電力費が2倍程度という現実の前に果たしてゴムタイヤ車両の採用が正しかったのかという疑問は残る。

一方、大阪市は1車両キロ当たりの電力消費量が2.2キロワット時と比較的良好な割に、同じく電力費が53.8円と極端に高い。これは1キロワット時当たりの電力費が24.0円と今回取り上げた鉄道事業者のなかで最も高額で、2番目に高いJR東海の15.5円と比べても大きな差を付けているからだ。

統計の誤りではないかと筆者は考え、2010(平成10)年度の数値を確かめたところ、こちらも1キロワット時当たりの電力費は22.7円であった。したがって何らかの理由があって大阪市は他社と比べて高額な電力費を容認しているものと考えられる。

ちなみに、大阪市を除く地下鉄では、1キロワット時当たりの電力費の平均は13.6円であった。仮に大阪市がこの金額で電力を購入したとすると電力費の総額は37億円となり、現状よりも28億円少なくて済むし、1車両キロ当たりの電力費は30.6円にまで下がる。

梅原 淳 鉄道ジャーナリスト

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うめはら じゅん / Jun Umehara

1965年生まれ。三井銀行(現・三井住友銀行)、月刊『鉄道ファン』編集部などを経て、2000年に独立。著書多数。

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