初公開!全国「エコ鉄道会社」ランキング 電力使用効率が良い会社、悪い会社は?

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今回は鉄道事業者が電力会社から購入した電力の数量や代価と電気車が走行した車両キロとから、1車両キロ当たりの電力の数量と同じく電力費とを求め、順位を付けてみた。鉄道事業者と言っても条件はさまざまで、一律にランキングを作成することは難しい。そこで、JR旅客会社、大手私鉄、地下鉄の3グループごとに各鉄道事業者の数値を比較することとしよう。

省エネ効果が大きい、電力回生ブレーキ

結果は表のとおりだ。説明の前に、まず表中の用語について補足したい。
 一つは「電力の数量」とは、電気車の運転に際して消費した電力の総量とは等しくないという点だ。

今日、電気車のうち、電車の大多数はブレーキ装置として電力回生ブレーキを採用している。これは電動機を発電機として用い、その際に生じる大きな抵抗で車両の速度を落とすとともに、発電された電力を架線などに戻して他の電気車の駆動用の電力として使用させるブレーキ装置を指す。

電力回生ブレーキの省エネルギー効果は大きい。JR西日本の試算では、京阪神圏を走る電車が電力会社から受電する電力の数量は電力回生ブレーキ装置を使用した場合が2万7778キロワット時、使用しなかった場合が3万8850キロワット時と、1万1072キロワット時、28パーセントもの節約に結び付くという(参考文献:山野井隆、「直流き電における電力貯蔵装置等の導入に関する研究」、「鉄道と電気技術」2014年1月号、日本鉄道電気技術協会)。

したがって、鉄道事業者、特に今回取り上げる各社は、こぞって電力回生ブレーキ付きの電車を導入していることは言うまでもない。

もう一つ、車両キロとは1本の列車に連結される、車両各々の走行距離の和を指すという点だ。たとえば、11両の電車が連結されているJR東日本山手線の列車が1キロメートル走行したとすると、車両キロは11キロメートルとなる。

11両の電車を連結した列車としては1キロメートル走っているのだから、本来は列車キロを用いてもよいはずだ。しかし、国土交通省の統計では列車キロには電気車だけでなくディーゼル機関車やディーゼルカーによって運転された列車のキロ数も含まれていて今回のテーマに即した数値は得られない。

加えて、11両の電車が連結されている山手線の電車のうち、電力を使用する車両の数は1両だけではなく、複数(山手線の場合は6両)存在している。このため、仮に電気車だけの列車キロが公表されていても、車両キロを用いるほうが精度の高いランキングを作成できるのだ。

次ページ1車両キロあたりの電力数量が最も効率的なのは?
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