松屋銀座、消費増税を吹き飛ばす 昨年の大改装で得た、たしかな手応え

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前半不振だったキャリア女性向け衣料も9月は回復(撮影:吉野純治)

また、食品フロアの改装では、11000円以上するブルガリの高級チョコレートショップが新たに出店。高額品目当てに2階を訪れた客が、高級チョコを買っていくという「買い回り効果」が発現、チョコレート全体の売り上げを前年同期比116%増に引き上げた。

好調な業績を振り返って、横関直樹・執行役員MD戦略室長は、「株価が高いと、当店の高額品の売り上げは伸びる傾向にある」と説明する。

対照的に、売れ行きが鈍かったのが、主に国内アパレルブランドで構成される3階部分のキャリア女性向け衣料だ。キャリア女性の場合は、株高など資産効果よりも、物価上昇分と給与上昇分の見合い、つまりは実質所得の動向が消費行動に大きな影響を与える。消費増税により実質所得が低下したことが響いたといえるだろう。ただ、9月は気温が下がったことでキャリア女性向け衣料も秋・冬物が順調な出足を見せており、回復基調にある。

改装効果の一巡後も売り上げ順調

また、円安効果などで海外観光客向け売り上げ(インバウンド)が急増しており、38月の関連売り上げは前年同期比95%増と大幅に伸びた。10月からは免税対象が化粧品や食料品など消耗品にまで拡大されたこともあり、1017日のインバウンド売り上げは、前年同期比2.6倍に膨らんでいる。

昨年9月の上層階の改装から1年経ったが、客足の好調が続いていることから、下期の149月~152月の松屋銀座店の売り上げは前年同期比3.7%増を見込んでいる。10月に入って日経平均株価に調整の兆しが見られることはやや気掛かりだが、現時点では十分達成可能な計画数値といえるだろう。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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