柳川東大教授「日本人が抱えるモヤモヤ感の正体」 「先が見えないから面白い事を」ライフシフト論

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オンラインのセミナーなどを受ける際も、ビジネスや、何か結果につながらなければ意味がないなどと前提を置いてしまうと、面白いことは学べなくなります。むしろビジネスからは離れて、自分の関心の向くところや、単に頭を整理するためといった視点で始めてみてもいいのではないでしょうか。

そんな余裕などないという人もいるでしょうが、たとえばリカレント教育の意義の1つは、自分の知識や経験を一般化できるようにする点にあります。

経験はあるのに、別の会社でそれをどう活用していいかわからない。それは日本の会社には、文脈特殊的な、固有の知識や情報が多すぎるからだ、などと言われます。ですが、そうとばかりは言い切れないと私は思っています。

本当はものすごく重要で汎用性のある経験をしているのに、その経験やそこから得た知識を一般化していないから、別の会社で活かすことができないという面があるのではないかと思っているのです。これでは宝の持ち腐れです。

こうしたときは、学問を使って整理することが役立ちます。経済学や経営学、法学など社会科学系の学問は、「今まで自分がやってきたことは、この理論のことだ」と実体験に基づいて理解しやすい。

補完的なスキルを探してみる

たとえばサンクコスト(埋没費用)という経済学の専門用語がありますが、社会経験のない学生は試験のために丸暗記するだけ。しかし社会経験があれば、「確かにこういうことがあったな。あれがサンクコストか」と腑に落ちるのです。40~50代の経験を積んだビジネスパーソンこそ、社会科学系の学問を学んで自分の経験を整理し、次のビジネスに活かすべきです。

心理学や哲学なども同様でしょう。学問を通して実体験を整理しておくと、一般化しやすくなります。一般化して言語化できれば、コミュニケーションはしやすくなります。

転職や、退職後のセカンドキャリアの形成に失敗している人の多くは、この点が十分でないように感じています。

もう1つの学びの方向としては、補完的なスキルの入手があります。こちらはより直接的に転職に役立ちます。

職業柄、メディアの方の取材を受けることも多いのですが、インタビューの際、記者の方とカメラマンが一緒に来られる、ということがあります。

この場合、記者とカメラマンの仕事には補完性があって、もし1人で両方できるなら、その方は優れた取材者として、アピールできるのではないかと予想できます。

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