【産業天気図・放送・広告】エコカー補助金打ち切り、円高など不安要素が多い、景況感は「曇り」で足踏み
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
放送・広告業界は2010年10月から1年通じて、「曇り」の鈍い景況感が続きそうだ。足元の広告出稿は決して悪くはない。だが、広告は景気との連動性が高いため、先行きは不透明感がぬぐえない。
10年4~6月期の国内の広告費の動向は媒体によってまちまちだった。とはいえ、つるべ落としのような落ち込みが続いていた前年同期に比べれば、最悪期を脱した感がある。特に大きいのはシェア3割を占めるテレビにわずかながら明るさが見えてきたことだ。
4~6月の東京地区のスポット出稿額の平均は前年同期比6.7%のプラス。番組スポンサー広告であるタイムの減少は続いているため、放送収入(スポットとタイムの合計)全体では回復基調とは言い難い。それでも民放キー局5社(フジ・メディア・ホールディングス、日本テレビ放送、TBSホールディングス、テレビ朝日、テレビ東京)のうち、減収になったのは視聴率の低迷に苦しむTBSホールディングスだけだ。
ただし、利益面では勝ち組と負け組の二極化が進む。各社の営業利益を見ると、視聴率首位のフジが前年同期比約2.5倍の76億円、2位の日テレが72.6%増の81億円と大幅な増益を確保した一方、3位テレビ朝日は2.0%減の23億円、4位TBSは54.3%減の11億円、5位テレ東は46.2%減の7億円と減益になっている。高い視聴率で収入をきっちり確保し、番組制作費などコスト削減の余地もある上位と、そうではない下位との規模の差が如実に出てきているからだ。