イビデン、株価急落を招いた反転攻勢の誤算 岐阜の名門企業に何が起きているのか

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竹中社長は2014年9~10月にフル稼働に持ち込むと話していた(撮影:風間仁一朗、2008年撮影)

逆境を乗り越えるため、イビデンは攻めの戦略に乗り出した。スマホやタブレット端末向けのシェア拡大に向け、400億円を投じてマレーシア工場に第2棟を新設することを決めたのだ。

今年9月に量産開始となれば、中国の北京工場と合わせて、プリント配線板の生産能力は1.5倍となるはずだった。

この計画を発表した昨年11月、イビデンの竹中裕紀社長は「2014年の9~10月にはフル稼働へ持ちこむ」と意気込んでいた。準備は着々と進んだが、いざ量産開始が目前となって誤算が生じた。

費用増と受注減のダブルパンチ

マレーシア工場新棟ではハイエンド端末向けの高付加価値なプリント配線板を製造する計画だったが、工程が複雑で、思うように生産が立ち上がらなかったのだ。不良品が多発し、それでも顧客の要望に応えるために従業員は残業して対応に追われた。製造コストと労務費が想定以上に膨らんだことに加え、当初見込んでいた顧客からの受注も減らされた。

今回の業績予想修正について会社側は、「当社に関する憶測が飛び交うようになったので、このタイミングで公表することを決めた」とコメントしている。イビデンが新工場立ち上げで苦戦しているといううわさが業界内で広がったことで、会社側も早期に対応を迫られた格好だ。

来期に反転攻勢できるかは、無事に新棟をフル稼働に持ち込むだけでは難しいかもしれない。伸び盛りのスマホ市場は、目まぐるしいスピードで変化し続けている。今は中国メーカーを中心に安価なスマホを開発する新興メーカーが急速に存在感を放つようになった。従来の大手顧客に加え、こうした新規顧客を取り込むことが復活への課題となりそうだ。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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