一肌ぬげるかどうかが人脈の決め手になる--『人脈のできる人』を書いた高田朝子氏(法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科准教授)に聞く
仕事のできる人になるには人脈作りが早道とばかりに、人脈ノウハウ本が引きも切らず刊行されている。著者は、「早い、簡単、うまい」という人脈作りに異議を唱え、「互いに一肌ぬぐ」人脈こそ本筋と説く。
--人脈ノウハウ本はたくさんあります。
確かにいっぱい出ている。それらの多くは著者を人脈作りの神様に見立て、そのマネをすればいいというもの。それはいかがなものかと思っていた。もともと人脈は自ら工夫して作る、あるいは結果としてできたはずだ。
ビジネススクールの学生を見ていると、やたら人脈という言葉が好きだ。法人派遣では勉強はともかく人脈を作って来いと送り出してくるところも多い。そういう人たちは、たとえば群れて飲めば互いに人脈と言い切ったりする。それはあまりに無邪気で、これはいかにも違う。
肩書きや経歴、紹介による人脈は知れている。相手とは長期の関係になってこそ人脈。人脈は「生き物」と肝に銘じたほうがいい。
--人脈を定義しています。
私は「一肌ぬぐ」をキーワードにしている。目先のギブ・アンド・テークの関係ではない。ともに「一肌ぬげる」かどうか。一口で言えば、「将来、自分のために好ましい行動をとってくれると期待が持てる人」ということになる。
人脈構築に「お返し」という人間の基本的性格が関係している。人から恩恵を受けると負担に感じ、「お返し」を考える。機会をとらえて相手のために働こうとし、自分の心の中で平等性を維持しようとする。だから、長期的なものにもなる。