ソニー、細胞の画像分析装置を商品化 医療機器事業強化策の一環

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 9月24日、ソニー は、医療事業強化の一環として、同社の画像(イメージング)技術を応用した細胞分析装置を商品化したと発表した。写真は、ソニーのロゴ、5月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 24日 ロイター] - ソニー <6758.T>は24日、医療事業強化の一環として、同社の画像(イメージング)技術を応用した細胞分析装置を商品化したと発表した。商品名は「セルモーションイメージングシステム」で、心筋細胞や神経細胞の分析など用途別に2機種開発した。

1台3000万円前後の機種を2014年12月に、2000万円前後の機種を来年2月に、研究機関や大学を対象に発売する。

新製品は、細胞の分析で、世界初の手法を採用。従来、細胞の動きを分析する場合、染色したり電気ショックを与える手法がとられてきたが、ソニーの画像技術、解析技術を応用し、細胞が増殖・変形・分裂する動きを正確な画像データとして映し出す装置を開発した。

これまで神経細胞の動きを生きたまま分析する方法がなかったが、ソニーの装置でそれが可能になる。新たなデータが検出できることで、再生医療や創薬の可能性を広げるという。

すでにソニーは、細胞分析装置の品ぞろえとして、細胞を光学的に分析する「フローサイトメトリー」と呼ばれる技術を活用した装置(フローサイトメーター)を国内外で5機種販売している。国内販売の2機種は、ソニーのブルーレイディスクの技術を応用して開発した。

ソニーは、医療事業として、1)オリンパス <7733.T>との合弁で開発している外科用内視鏡など医療機器分野、2)細胞分析装置や簡易診断機器などライフサイエンス分野、3)モニターやプリンターなど医療用周辺機器分野──の3分野を強化しており、2020年に売上高2000億円を目指す。

細胞分析装置の新製品の開発は、ライフサイエンス分野の売り上げ拡大の一環。ライフサイエンス事業部の近藤紀陽事業部長は、20年には医療事業全体の3分の1にあたる600億円以上の売り上げ規模にする考えを示している。

富士キメラ総研によると、細胞分析装置のうち、フローサイトメーターの2014年の国内市場規模の予測は71億円。世界市場は、その10倍の700―800億円規模としている。

 

 

(村井令二)

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