日本がスコットランド独立投票から学ぶこと 東京と北海道や沖縄が、将来も「共存共栄」する条件

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イギリスの行財政は、先進国の中でもより中央集権的であるがゆえに、イギリスの一地域としてのスコットランドからみれば、イギリス全体の政策方針と地域住民のニーズが異なるほど、そのフラストレーションがたまるのだろう。

独立の見込みは、財源確保のメドがあって初めて成立

確かに、スコットランド議会が設けられて以降、スコットランドへの権限移譲は進んだ。しかし、徴税権の大半はイギリス政府が持っているし、スコットランド近海の北海油田から上がる収入もイギリス政府のものである。

スコットランド独立賛成派からみれば、こうした収入源をスコットランド自治政府が手に入れられたならば、独立国として、独自の政策を実施できる、と見込んだ。こうした独立の見込みは、その地域の経済力や財政を支える財源確保のメドがあって初めて成り立つものである。もしそれが今日なければ、たとえ歴史的経緯があっても、「独立」を叫ぶことはできまい。

同じ観点からみれば、スペインのカタルーニャ州などにも同じことが言えそうである。カタルーニャ州の住民には独立国の樹立を望む動きがある。それも、経済力と財政を支える財源確保の見込みがあるからだ。

では、翻って日本はどうだろうか。幸か不幸か、日本には、そうした動きは顕著ではない。北海道にせよ、沖縄県にせよ、他の地域と異なる行政のニーズを持っているかもしれないが、明らかに財政的には自地域の税収だけでは立ち行かない。

逆に東京都などは、他から離れて独立しようと思えば、経済面や財政面で独立できなくはない。だが、人口も多く、国政選挙でも定数是正がきちんとなされれば、人口が多い都市部の住民の行政ニーズを国政に反映させることは可能だから、独立するほどのものではないだろう。

次ページ問われる、行政ニーズの差に応じた「仕組みづくり」
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