早過ぎる円安、日本株はいったん反落も 【今週のマーケット】実はまだ高値更新でない日経平均
だが、削った場合、連銀には利上げ前倒しの意図はまったくなくても、「文言変更」を見た市場が、勝手に早期利上げと邪推し、暴れまわる恐れがあった。
すでに多くの報道で、この文言を「削る」「いや、削らない」と騒ぎになっていたため、連銀は、急きょ「相当の期間」の文言を残し、市場に安心感を与える作戦に出た。この作戦が功を奏し、米ドル買いに「力を貸した」と、解釈できる。
「綱渡り」続く連銀、浮上する「短期的リスク」
こうしてFRBのイエレン議長は、サーカス団の団長よろしく、市場という猛獣を、巧みに手なずけた。しかし今後も、イエレン・サーカスは綱渡りを続けなければならない。景気が悪化すれば、米株価や米ドルが大きく下落しかねない。逆に景気が過熱すれば、長期金利が一気に跳ね上がり、それが米株価を急落させ、やはり米ドル安につながりうる。
つまり、「タイトロープ」の右にも左にも転落できず、今後も微妙なバランスで金融政策の舵を取り続けることになる(ただ、現時点で無難に乗り切る可能性が高いと予想する)。
加えて、足元の円安には、短期的に危うさを覚える。日本の公的年金資金の外貨投資拡大に対する思惑、FX取引での、個人の米ドル買いへの飛びつき、シカゴ先物市場での円売り残の膨張など、需給面で過熱が生じているからだ。大きな円安トレンドは変わらないが、当面は、いったん円高方向へ振れ戻る展開を予想する。
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