米テスラの「極秘プラン」は実現するのか テスラモーターズのマスクCEOに直撃

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
 

――テスラのCEOとしては、06年に「シークレット・マスタープラン」という事業計画をブログで公開している。まずは高級車を販売して資金を得ることで、より安価な車を量産してEVの普及を図るという内容だったが、それから8年経って、当初の見通しと比べて現在の進捗をどう評価するか。

とてもいい進捗だと思う。今は(3段階中の)第2段階といったところ。ただ、(リーマンショックという)大不況が自動車産業に打撃を与えたうえ、ミスを起こしたこともあって計画通りに進まなかったのも事実だ。われわれが考えていたよりは長くかかってしまっている。ただ、当初から目標として描いていた、より小型で大衆向けの車、「モデル3」を3年以内には出せると考えている。

パナソニックとトヨタが救ってくれた

――「モデル3」を造るために、リチウムイオン電池を大量生産する巨大工場「ギガファクトリー」の計画を今年初めに発表した。初めからギガファクトリーのアイデアはあったのか。

いや、考えてはいなかった。われわれがギガファクトリーを建設するのは、それ以外に大衆車を生産するための術が見えなかったからだ。リチウムイオン電池のグローバルでの生産能力はまだ小さすぎる。生産コストも高すぎる。それに、ほかのどのメーカーも巨大な工場に投資したがらない。そこでわれわれがそのリスクを取ることにした。

現在は大事な戦略パートナーであるパナソニックと共同で計画を進めている。一方で理解してほしいのは、ギガファクトリーを建てた後も日本の工場からの供給は受け続ける。増える分をギガファクトリーで生産するのであって、日本から生産を移管するのではない。

――パナソニックを電池のサプライヤーとして選んだ理由は。

パナソニックは最も先進的な技術を持っているし、われわれテスラと一緒に、自動車用途向けに電池セルをカスタマイズしようとする意志が明確だ。何より、とても早くからEV市場を真剣に考えてくれていた。

特に賛辞を送りたいのは、同社の山田喜彦副社長だ。テスラがまだ非常に小さく、成功するかどうかもわからなかった頃から、彼はテスラを強く信頼し支えてくれた。多くの人は失敗するだろうと思っていたが、彼とパナソニックの同僚たちはテスラの成功を考えてくれた。彼らはわれわれのためにEV用リチウムイオン電池セルを生産するうえで、社内の最良のリソースを振り向けてくれた。パナソニック、そして同様に資本提携をしているトヨタ自動車の助けがなければ、テスラの成功はなかっただろう。

次ページギガファクトリーでテスラはどう変わる?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事