米テスラの「極秘プラン」は実現するのか テスラモーターズのマスクCEOに直撃

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――アップルのiPhoneなどを生産している台湾のフォックスコン(鴻海精密工業)が、EV市場に参入するとも取りざたされているが、同社との協業についての考えを聞かせてほしい。

Elon Musk (イーロン・マスク)/オンライン決済のペイパルなど複数のネット企業を創業後、2004年にテスラモーターズの経営に参画し、08年にCEOに就任。02年創業した宇宙船開発のスペースXのCEOを務めるほか、太陽光発電ベンチャー、ソーラーシティの会長にも就く多忙な43歳

すでに協業関係にはある。ただ、自社生産をしていないアップルと違い、テスラは自社で多くのものづくりを行っている。フォックスコンはわれわれの一サプライヤーだ。将来的により重要なサプライヤーになるかもしれないが、それでもアップルのように完全に生産を委託するようなことはわれわれの計画にはない。車両生産ではなく、あくまで部品供給だ。

 そもそも車両組み立て工程は自社で行っていくつもりだ。それは自動車メーカーがやるべきで、製造機能を持つことは重要。私はものづくりが好きだし、多くのイノベーションを注ぎ込める分野だ。多くの人はものづくりを単なるコピーづくりのような退屈なものだと考えているが、われわれの考え方は違う。

――ただ、50万台という数でも、「持続可能な輸送手段」には十分ではないのでは。

20年までには年間1億台の自動車が全世界で生産されると考えられているが、50万台というのはそのわずか0.5%だ。自動車ビジネスとしてはまだまだ非常に小さい数であると認識している。ただ、トヨタやGM、フォルクスワーゲンといった大きな自動車メーカーに、“消費者は電気自動車を欲しがっている”ということを示すのには役立つ数だろう。消費者が買いたがるような魅力的なEVを作り、大手メーカーにもっとEVに注力するようシフトさせる。これがわれわれの挑戦であり、未来にとって重要なことなのだ。

テスラだけではできないのはわかっている。50万台に達しても、生産能力はまだまだ低い。全需要の0.5%では世界を変えられるはずもない。だからこそ「ビッグ・ガイズ(Big guys、大手自動車メーカー)」がEVにエネルギーを振り向ければ、われわれの願いは達成される。

――テスラがEVの需要を刺激したいと。

まさにそうだ。大手メーカーに、“これが客の欲しがっているものだ”ということを示せば、彼らの考え方も変わる。

そういう意味では、テスラに早くから乗ってもらっている人々には非常に感謝している。彼らは一種の影響力を持つパイオニアであり、モデルSのアンバサダー(大使)のような存在だ。(彼らが道を走ることで、)EVのことを周囲の多くの人に教えてくれている。それがなければわれわれの成功はない。最初の顧客に直接車のキーを私が手渡しているのは、そういった理由からだ。

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