「TikTokとYouTube」SNSとして見た時の根本的違い TikTokはまだ伸びるのにビジネス活用は未成熟
つまり、世界で流行の最先端にあって、ユーザー数がどんどん伸びているのに、まだ公式にビジネスに活用できている企業が少ない。ということは、成長しているのに競争相手が少ないということです。
たとえばTwitterなら、もう公式アカウントを開設していない企業を探すほうが難しいかもしれません。YouTubeも、プロのYouTuberたちがユーザーを奪い合っていますから、今からいきなり参入したところで、投下したコストに見合うリターンを得るのはかなり難しいと思います。
これがTikTokならば、まだ参入する余地があるのです。もちろん、20~30代の女性から絶大な支持を得ている、という形でターゲットがハッキリしているのも大きなメリットです。ここまではなんとなく理解している方が多いと思います。
TikTok自体のシステムそのものにある強み
しかし、TikTokがよりビジネスに向いている理由は、単に先行者利益が、とか、ユーザー層が、とかいう部分だけではなく、もっと根本的な部分にあります。TikTokの最大の強みは、TikTok自体のシステムそのものにこそあるのです。
たとえば最大手の動画配信サービスであるYouTubeは、そもそも「動画を共有するための置き場」としてスタートしています。それは現在でも変わっておらず、基本的な考え方は「たくさん再生される動画を、多くの人の目に触れるところや『あなたへのおすすめ』に置いておけば、さらに多くの再生数が稼げる」というものです。
広告の種類には「プッシュ型(企業が主体となって発信し、顧客は受信するだけの広告。テレビCMや新聞広告など)」と「プル型(顧客が自発的に興味を持ちサービスを利用・拡散する広告。リスティング広告や自社ウェブサイト、SNSなど)」というものがありますが、YouTubeは典型的な「プル型」のサービスと言えます。
「広告主が見せたいコンテンツを見せる」という意味では「プッシュ型」のほうが理想的なのは当たり前ですので、旧来の広告はずっと「プッシュ型」が主流でした。そもそも、広告に触れた人がそれを拡散しようにも、その手段がなかったのです。
こうして広告の受け手側があまりにもプッシュ型広告に慣れすぎたせいで、プッシュ型広告の威力は相対的に下がってしまいました。現在の広告の世界のトレンドでは、「プル型営業」のほうがイケてる、とされており、多くの広告関係者が「プッシュ型からプル型へどう移行するか」みたいなことを言っている、という状態です。
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