トヨタのEV戦略を訝る人がたまげた隠し技の衝撃 2030年までにBEV30車種、350万台販売計画の神髄
確かに「選択と集中」を宣言したほうが経営的には楽である。ただ、トヨタはグローバルでビジネスを行っているため、各国・各地域のいかなる状況、いかなるニーズにも対応しながらカーボンニュートラルを実現させる必要があると考えている。つまり「カーボンニュートラル実現」と「すべての人の移動の自由を叶える」の両立だ。それはすなわちトヨタフィロソフィの「幸せの量産」に繋がる。
今回、初めてBEV戦略に対して “攻め”の姿勢を取ったトヨタだが、筆者は1つだけ気になることがあった。それは豊田社長の「本心」の部分だ。筆者はこれまでの取材でBEVに対して「ちゃんとやっています!!」「反対ではない」という話は何度も聞いているが、それ以外のこと……もっと踏み込んだ話や本音を聞く機会はなかった。確かにガソリン車や水素エンジン、ハイブリッド技術を語っている時と比べるとビジネスライクだな……と。そこで筆者は発表会の質疑応答の場で、思い切ってストレートに聞いてみた。
「豊田社長はBEVが好きなのか? 嫌いなのか? 素直な気持ちをお答えいただきたい」
豊田社長は苦笑いしながら答えてくれた。
「これからトヨタが作るBEVには興味があります」
「あえて言うなら『今までのトヨタのBEVには興味が無かったが、これからトヨタが作るBEVには興味があります』というのが答えだと思います。
ちなみに私が最初に乗ったEVは『RAV4 EV』でした。その次に乗ったのが、86をEVに仕立てたテストカーでした。ただ、その時のコメントは、どんな形をしていても『電気自動車だね』でした。つまり、BEVにすると皆同じクルマになってしまう。トヨタ/レクサス/GRという各ブランドで『○○らしさ』を追求している者としては『BEVだとコモディディ化してしまう』と。そのため、今までビジネス的には応援するけど、モリゾウとしては……という本音を見抜かれた感じです。
私は今、マスタードライバーをやっています。マスタードライバーになるキッカケ、トレーニング、技能習熟はFRでやってきました。しかし、最近は自ら出場するラリーやS耐などのモータースポーツの場では4WDに乗っています。そこでマスタードライバーの感性が変わってきたことは、『電気モーターの効率はエンジンよりも遥かに高い』ということです。それを活かすと4駆のプラットフォームを1つ作れば、制御如何でFFにもFRにもできます。そんな制御を持ってすれば、モリゾウでもどんなサーキット、どんなラリーコースでも安全に速く走ることができる。
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