1階にも食品売り場!「阪神梅田本店」の大変貌 7年にわたる建て替えで進める「脱・古い百貨店」

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百貨店では従来、上層階で北海道物産展などの大型イベントを開催して不特定多数の顧客を広域から集客し、下層階の店舗まで買い回ってもらう手法が王道だった。シャワー効果と呼ばれ、イベント開催に多額の販促費を投入して来店を促した。

ただし、いかに多くの客を呼び込み売り上げを作ったかが重視される一方、単発での集客に注力するあまり、顧客との長期的な関係作りは二の次で、業界内では「打ち上げ花火」とも自嘲されていた。

さらにECの普及などで消費者の目的買いの傾向が強まった結果、来店しても各フロアで買い回りをしないようになり、シャワー効果そのものが通用しなくなっていた。

阪神梅田本店のナビゲーターの役割は、目先の売り上げを最大化する考え方から、1人の顧客から生涯にわたって得られる収益を示すLTV(顧客生涯価値)の最大化へ軸足を移す流れを先導することにもある。

「食の阪神」前面、店の個性明確に

阪神梅田本店では、売り場も従来型の百貨店の定石とは大きく異なる構成にした。百貨店では通常、店の顔とも言える1階にはラグジュアリーブランドや化粧品の売り場などが入る。

1階の中心には「食祭テラス」を設けている(記者撮影)

2階から2~3フロアにまたがって婦人服、その上に紳士服、宝飾品、リビング用品、催事場が順に配置されるのが一般的だ。

一方で、阪神梅田本店では1階を食関連の売り場にした。食をテーマにした体験型スペース「食祭テラス」をフロアの中心に設け、周辺にはパンやおやつなどを専門に取り扱う売り場を配置した。

「食祭テラス」では大阪と広島のお好み焼き、唐揚げ、ワインとジビエなど独特なテーマによるイベントを毎週開催して集客を図る。

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