「成長しているか」グズグズ考える前にすべき事 1年の振り返りと進化を評価できる2つの対策

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そのうえで反省を込め、来年をいかに過ごすか、どんな業務を成し遂げることを目標とするかなどを考え、来年の成長戦略を練ります。来年末になったら新たに職歴書を記載するとともに、前に書いた職歴書を見返して、目標が達成できたどうかを判断し、成長できたか否かを自分自身のなかで考える、というPDCA的なループを廻します。

これにより、少なくとも自分の目指すべき姿やゴール、そこにどの程度までたどり着けたのかがわかるはずです。

もちろん、理想は長期的なゴールがあったうえで、今年はこれをする、来年はこれをするなどと区切っていきたいところですが、頂戴した相談を拝見すると、SSさんにはそういった長期のキャリア上のゴールや目標がないように見受けられます。

そうであれば、前述のとおり、まずはキャリアの軌跡を棚卸して、その延長線上での短期的なゴールを決めて、自分の成長を図る。さらに、そういった作業に慣れてきたら、長期的なゴールを構築するという流れを作るのがよいと思うのです。

まずは、自分の現在の居場所をキチンと把握する、そして短期的でいいので、ゴールや目標を設定することに慣れ、目標を達成するという感覚や経験を積み上げてみてはどうでしょう。達成に対する努力やモチベーション維持の方法を、自分なりに身に付けることができるはずです。

そしてもう1点。定期的に転職エージェントと話をする、ということも大事です。

自分の価値を見極める視点を養うことが目的

自分1人だとどうしても情報が限られたり、客観的な視点を維持できにくくなります。その場合、外部の専門家の視点を取り入れたほうがいいいのです。

ただ、勘違いしていただきたくないのは、学校の先生と生徒の関係のように、エージェントの言うことを鵜吞みにしろということではありません。あくまでも、転職市場の動向や市場における自分の価値を見極める視点を養うことが目的です。

したがって、理想は複数のエージェントと付き合うことですが、無理なら1人でも構いません。いずれにせよ、自分が所属する労働市場の動向や、ライバルたる同期同年代の動きと今後の予測、現在の自分自身の立ち位置の把握、そういったことの情報を得るためには非常に有益でしょう。

先ほどの職歴書の記載作業と同様に、自分の立ち位置や目指すべき方向性の確認、今何をするべきかなどがより明確になるはずです。

実はこれらの作業は、私が若い頃にやっていた作業なのです。自分1人で考えるだけでは、それが正しいのか否かがどうしてもわかりません。まして、仕事が忙しかったりすると長期的な視点を見失いやすくなります。

そうならないためにも、目指すべき方向性と努力の方向性を見間違わないように、職歴書の記載を通じて定期的に自分の持っている経験やスキルを棚卸し、そして外部の目を入れて客観的な視点を忘れない。

同じ努力なら、価値のある努力、するべき努力をするべきです。SSさんがそのような作業を通じて、やる価値のある努力の方向性を見出し、毎年成長を実感できるようになることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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