知られざる韓国の実力、その強さと脆さ

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 伝統的な年功序列制が崩れ、成果主義が広がった。組織も垂直的な構造から、フラットな組織で活力を引き出す仕組みに変えた。かつて韓国企業の代名詞だった激しい労使対立も沈静化した。

 

IMF改革は韓国企業にとって、強制された選択と集中であったが、それを契機に企業は自社技術やサービスの強みを認識する。日米欧の企業を研究し、海外市場を開拓する戦略を練り上げた。

財閥中心の経済構造で、弱いとされている中小・ベンチャー企業も徐々に増えてきた。10年前に2万社だったベンチャーはおよそ4万社へと倍増。この中には、NHN(ネイバー)のようにITの有力企業へと育った企業もある。NHNの時価総額は6000億円を超える。

日本はこれまで韓国を知らなすぎた

「日本経済に関する講演や勉強会への誘いがめっきり減ってしまった」。韓国の政府系シンクタンク・対外経済政策研究院の鄭成春(チョンソンチュン)日本チーム長が苦笑する。リーマンショック前にも4%前後の成長率を維持してきた韓国からすると、もはや学ぶべき手本としての日本の存在感が薄れたのも事実だ。

こうした韓国の日本軽視の状況に、大韓生命経済研究院の崔聖煥(チェソンファン)常務は、「日本を過小評価すべきではない」と苦言を呈する。「新興国で販売される商品で、日本の技術水準が100だとすると、韓国は80~90の水準にとどまる。韓国企業の好調はウォン安によって底上げされている面もある」(崔氏)。

技術をめぐっては韓国内にも、まだまだ日本に学ぶべきという雰囲気は強い。LG経済研究院の李地平(イジピョン)・首席研究委員は、「LCD(液晶表示装置)など国産化が進んだ分野もあるが、日本の基板技術に依存している構造は今後も続く可能性が高い」と指摘する。

 

 

 

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