「4000例のコロナ死データ」で見えた死亡例の傾向 年齢や基礎疾患だけではなかった新たなリスク

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救急車で搬送された人は、死亡事例3755人の約6割にあたる2184人だった。医師の診察などの結果、緊急入院が必要であると認めた理由については、救急医療入院該当患者とされた2528人のうちの8割が「呼吸不全、または心不全で重篤な状態」で、最も多かった。その次に「吐血、喀血(かっけつ)、または重篤な脱水で全身状態不良の状態」(238人)、「意識障害、または昏睡」(128人)などと続いた。

コロナの最前線で奮闘する医療現場は「第6波」を警戒し、いつまでたっても息を抜けない。

コロナ患者が行き場をなくしてしまう

東京都足立区で等潤病院を運営する社会医療法人社団慈生会の伊藤雅史理事長は、「これまでの教訓を生かして、入院すべきコロナ患者の治療優先度を決めるトリアージを明確にし、自宅や施設で急性増悪した患者の搬送ルールを決めて受け入れ先を確保しなければ、感染爆発ともいえる第5波の時と同じ混乱を繰り返してしまう」と憂慮する。

等潤病院は2度のクラスター(感染者集団)の発生を経験したが、感染対策を徹底し、早期に封じ込めた。周辺病院でコロナ疑い患者の受け入れ困難な状態が続くなかで、積極的に救急搬送を受け入れてきた。

2020年8月末、1回目のクラスターが発生。院内からは「周りの病院が怖じ気づいて、コロナ疑い患者を引き受けないのに、どうして当院だけが受け入れるのか」との反発もあった。

それに対して伊藤理事長は、「発熱の患者はコロナ疑いだけではない。うちが引き受けなければ患者は行き場をなくしてしまう。2次救急病院の役割を果たし、足立区を含めた近隣の最後の砦となるためには引き受けざるをえない」と説明し、受け入れを継続した。

ところが、若年層の感染が急拡大した第5波は想定を超えた。2021年7月から8月にかけて救急搬送件数は急増し、8月2日から8日の1週間だけで98台を受け入れた。それ以降もできる限り受け入れ続けたが、救急要請のうち何台を受け入れたかの割合を示す「救急搬送応需率」(応需率)は一気に下がり、2割を割り込んだ。

対応できる病床が足りなくなったことに加えて、受け入れ要請が急増したため、通常、8割程度の応需率が急低下したのだ。

伊藤理事長は「当院はコロナ疑い患者を受け入れる医療機関のはずだったが、第5波ではコロナ患者を受け入れざるをえなくなった。救急車は遠い所では東は千葉市、西は西多摩から、足立区にある当院まで受け入れ要請があった」と当時を振り返る。

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