大都市はターミナル駅だけで成立するわけではないので、通勤のための路線が必要になる。千歳線や函館本線はまさにその役割を担い、さらに北に延びる学園都市線(札沼線)もある。沿線には教育機関や新興住宅地が開発されており、朝は札幌方面に向かう通勤客と札幌方面からやってくる通学客が錯綜する、典型的な通勤通学路線だ。
2020年春には非電化だった末端の北海道医療大学―新十津川間が廃止され、“1日1往復の区間が消えた”と鉄道ファンは涙をのんだが、地元の人たちにとってはほとんど影響がないというところに、北海道の鉄道の現実を見なくもない。
札幌駅から天下の歓楽街・すすきのへは、地下通路を歩いて行くのもいいけれどやはり地下鉄であろう。札幌市内の地下鉄は南北線・東豊線・東西線の3路線。中でも1972年の札幌オリンピックに合わせてその前年に開業した南北線は、札幌市内交通の大動脈になっている。ゴムタイヤで案内軌条を走るシステムは雪国ならでは。建設にあたって反対論が出たときには、旗振り役だった札幌市交通局長の大刀豊が「きっぷを買えばクマでも乗せる」と言い放っている。
札幌市電は環状線
この札幌市営地下鉄に置き換わるようにして姿を消したのが札幌市電。札幌市内を縦横無尽に通っていた市電は市内の自動車渋滞を招く原因となっていて、1960年代以降縮小されていった。
しかし、ほとんどの路線が廃止された1974年以降も1系統だけ残されて、それが2015年には環状運転化されていまも健在である。ニッカウヰスキーのおじさんのネオンでおなじみすすきのの交差点を曲がるシーンは札幌を象徴するシーンのひとつといっていい。
札幌駅から再び大動脈の函館本線に乗って、再び旅の先をゆく。北海道の雄大なる自然を堪能するには、むしろここからが本番だ。JR北海道の鉄道収入のほとんどは札幌を中心とする都市部で得ているが、それ以外の赤字路線にこそ北海道の鉄道旅の神髄がある。その神髄はいわば秘境を走る鉄道ということになって、JR北海道の苦境の裏返しではあるのだが、それでも景色が素晴らしいことは間違いない。さあ、旅を続けよう……。
と、言いたいところだが、すでに文字数が多くなりすぎた。また稿を改めて旅の続きをすることにしたい。
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