函館―札幌をどう旅する?北海道ご当地鉄道事情 特急「北斗」で味わえない"山線"の超ローカル感

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そんなわけで新幹線に揺られること約4時間。新函館北斗駅に着いた。ここから函館本線に乗り換えて、さっそく道内の鉄道の旅のスタート……と行きたいところだが、少しだけ戻らねばならない。新函館北斗駅から道内巡りとなると、下り(札幌方面)の特急「北斗」にでも乗るのがいいのだが、そうなると新函館北斗以南がまったくなかったことになってしまう。

函館駅はかつての北海道の玄関口だ(撮影:鼠入昌史)
函館市電の「箱館ハイカラ號」。観光シーズンに運転される(撮影:鼠入昌史)

もとはといえば北海道の鉄道は函館駅で青函連絡船とつながって、そこから始まっていたのだから函館駅こそ北海道の鉄道旅の起点にふさわしい。そこでいったん新函館北斗駅から「はこだてライナー」に乗って約20分。函館駅に向かう。

函館市内には、函館市電という路面電車が走っている。1897年に馬車鉄道としてはじまって、1913年に“電車”になった北海道で初の路面電車だ。函館駅前から函館山のふもとを抜けて函館どつく。反対側では五稜郭や函館競馬場、湯の川温泉といった函館の名所をぐるりと巡る。もちろんラッピ(ラッキーピエロ)もハセスト(ハセガワストア)も、市電に乗れば行けるのだ。

特急「北斗」でいざ札幌

そんな路面電車で函館を巡った後はいよいよ函館駅から汽車に乗ろう。電化されている区間もそこそこ多い函館本線だが、札幌に向かう特急「北斗」は非電化区間も通るのでディーゼル特急だ。函館の平野部を北進し、いざ札幌へ……。

道南いさりび鉄道は電化路線ながら旅客列車はすべて気動車(撮影:鼠入昌史)

しかし、そもそも函館と札幌は直線距離で150km。東京からだと静岡くらいの距離感であって、特急「北斗」で3時間半もかかる。とうぜん一筋縄で行ける道のりなどではなく、途中でいくつもの分かれ道が待ち構えている。順番にやっつけていくことにしよう。

最初の分かれ目はいきなり函館駅のお隣五稜郭駅で待ち受ける。分かれているのは第三セクターの道南いさりび鉄道線。もともとはJR江差線であり、北海道新幹線開通までは青函トンネルを経て本州からやってくる特急「白鳥」「スーパー白鳥」や「北斗星」「トワイライト・エクスプレス」などが走っていた。そうした歴史的経緯からいまも道南いさりび鉄道線は電化されていて、電気機関車に牽かれる貨物列車も走っている。

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