函館―札幌をどう旅する?北海道ご当地鉄道事情 特急「北斗」で味わえない"山線"の超ローカル感

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このローカル区間、途中倶知安駅での乗り継ぎを強いられることもあるが、通して乗って3時間と少々。長万部駅での乗り継ぎの悪さが玉にきず、というか鉄道旅においてはきわめてやっかいな弱点なのだが、それさえ気にしなければ案外に悪くない。時間がかかるといっても「北斗」で函館―札幌間が3時間半と思えば、それほどの長旅でもなかろう。2020年にはH100形という新しい電気式気動車が投入されたので乗り心地も悪くない。

小樽駅は函館本線“山線”の終点。登録有形文化財の駅舎が出迎える(撮影:鼠入昌史)

小樽から札幌まではそのまま新千歳空港に向かう快速エアポートも走っている電化区間なので後に回すとして、またも「北斗」の旅に戻らねばならない。長万部から東室蘭、苫小牧まではほとんど分かれ道がない一本道(東室蘭―室蘭間の支線がある)だが、苫小牧駅では行き先は3つに分かれる。

「北斗」が走るのは千歳線だが、室蘭本線は苫小牧駅で終わらない。馬追丘陵の東側を北上し、岩見沢駅までを結んでいる。函館本線の“山線”と同じく特急などは走らないローカル区間。かつて夕張山地から生み出された石炭を室蘭の港まで運ぶために建設されたのがそもそもの室蘭本線のはじまりであって、ローカルながらも複線区間があったりするところに往年の面影がわずかに残る。

運休したまま廃止の区間も

苫小牧駅で別れるもう1つの分岐は日高本線だ。文字通り日高地方を目指して海沿いを走るローカル線。現在は鵡川駅までの30.5kmしかない小路線にすぎないが、かつては遠く様似駅まで走っていた。途中には新冠や静内、浦河といったサラブレッドの一大産地。牧場の中を抜けてゆく区間もあって、車窓からは草を食むサラブレッドの母子を望めるのどかな路線でもあった。

鵡川―様似間が廃止された日高本線(撮影:鼠入昌史)

しかし、2015年の高波被害などを受けて鵡川―様似間は長期にわたって運休が続いたまま、2021年春にひっそりと廃止されてしまった。サラブレッドの牧場となれば、オカネモチの馬主さんも足を運ぶ。日高本線がなければさぞかし不便だろうと思うかもしれないが、実際は新千歳空港から高速道路を飛ばしていけば2時間もかからない。のんびり走るディーゼルカーではとても歯の立たない現実がそこにはあるのだ。

さて、このあたりでようやく「北斗」に戻ることができる。特急「北斗」は南千歳駅で道東に向かう石勝線と接続し、さらに白石駅では旭川方面に向かう函館本線と接続する。これらの旅ももちろん続けていきたいところだが、ひとまず道都・札幌に腰を据えてから次の旅のプランを練るのがよかろう。200万都市・札幌は北海道全体の人口の約37%を占める紛れもない大都市である。

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