ホンダの“地味”な新中期計画、あえて超現実路線の理由

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たとえばホンダのモデルチェンジは、つねに前任者の否定から始まるという。それが技術者魂であり、自己表現だと社内で評価されてもきた。

「しかしそれは製品価格を高くする。顧客からすればどこに価値があるのか。特に新興国向けの低価格車を開発するうえで(従来のプライドは)邪魔になる」(ホンダ幹部)。

一時の最悪期を脱したとはいえ、環境対応や新興国向けなど、従来の価値観が大きく塗り替わった自動車業界。再編劇から独り身を置くホンダにとって、生き残るには、より地に足の着いた解を追求すべし--。

とかく発信力のあった福井威夫前社長と比べて、まだカラーを出し切れなかった伊東社長が初めて打ち出したのは、強烈な現実路線だった。

■ホンダの業績予想、会社概要はこちら

(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2010年7月31日号)

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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