ホンダの“地味”な新中期計画、あえて超現実路線の理由
たとえばホンダのモデルチェンジは、つねに前任者の否定から始まるという。それが技術者魂であり、自己表現だと社内で評価されてもきた。
「しかしそれは製品価格を高くする。顧客からすればどこに価値があるのか。特に新興国向けの低価格車を開発するうえで(従来のプライドは)邪魔になる」(ホンダ幹部)。
一時の最悪期を脱したとはいえ、環境対応や新興国向けなど、従来の価値観が大きく塗り替わった自動車業界。再編劇から独り身を置くホンダにとって、生き残るには、より地に足の着いた解を追求すべし--。
とかく発信力のあった福井威夫前社長と比べて、まだカラーを出し切れなかった伊東社長が初めて打ち出したのは、強烈な現実路線だった。
(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2010年7月31日号)
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