ホンダの“地味”な新中期計画、あえて超現実路線の理由
「次の10年の方向性」と銘打ち、ホンダが22日発表した新中期経営計画。一見、新味のない中身だった。
ホンダの年2回の社長会見は長年の慣行だが、リーマンショック後の2008年末を最後に、開催が見送られてきた。1年半ぶり、しかも伊東孝紳社長に替わって初となる今回の注目は、何といっても環境対応車の開発状況だった。
ホンダが09年に発売したハイブリッド車(HV)「インサイト」は世界で13万台しか売れず、トヨタ自動車「プリウス」の40万台に大きく水をあけられた。
今秋発売の小型車「フィット」HV版は、当面国内専用。中型車「シビック」HVには、新たにリチウムイオン電池を搭載する予定だが、これも一気にプリウスを抜くとは考えづらい。
その間にも、日産自動車は電気自動車(EV)「リーフ」の年末発売へ突き進み、トヨタも家庭充電型のプラグインハイブリッド車(PHV)構想を具体化しつつある。ホンダの次の一手を、周囲は首を長くして待っていたのに、だ。
EV戦略に驚きなし
が、会見で出たのは、「12年にPHVとEVを発売する」という、業界関係者ならほぼ想像できた内容だった。
12年は自動車メーカーにとって絶対的に重要な節目となる。
欧州ではこの年から、各社の新車販売台数の65%がCO2(二酸化炭素)排出量130グラム以下でないと、罰金が科される。また米カリフォルニア州では法律が改正され、「州内販売台数の12%をCO2の出ないゼロエミッション車にすること」と定められる。といって、究極の環境対応車とされる燃料電池車(FCV)も、燃料となる水素の供給設備の普及が一向に進まない。
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