ホンダの“地味”な新中期計画、あえて超現実路線の理由
こうした環境下から「FCVでかなりの台数を賄うつもりだったが、台数には限界がありそうだ」(伊東社長)。ホンダがPHVやEVをこの年に発売するのは自明の理だった。ホンダに期待されていたのは、より踏み込んだ開発方針であり、具体的な燃費目標だったはずである。
強いてサプライズと言うなら、本来得意とされたガソリンエンジンと、中大型HVの具体的な戦略が、あえて“語られなかった”ことだろう。
VTECエンジンでかつて一世を風靡した、エンジン屋のホンダ。片や日産が注力中の新型「マーチ」は燃料1リットル当たり26キロメートル走る。マツダは32キロメートルの実現にメドをつけ、ダイハツ工業も30キロメートルを実現する軽自動車の来年発売を予告した。
実はガソリンエンジンの低燃費競争は、HV人気の中で逆に激しさを増す一方なのである。が、この日のホンダは、「12年から順次刷新する」と素っ気なかった。あと2年もノーアクションだとしたら、失望感すら伴う。
開発中の中大型HVについても一切触れられずじまい。インサイトが特に米国で苦戦している事情は、車体が小さいことに尽きる。強力な武器となる「アコード」クラスのHVはいつ出るのか。周囲はお預けを食らった格好だ。
社内引き締めの色も
取りたてて派手さのない10年構想。だがこれを、「最近のホンダは社内の価値観で商品を判断している。これを解消し、すべてお客様目線に戻す」と語った伊東社長の“自制”と考えれば、合点はいく。
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