イスラエルの超天才が警告する気候変動の大災厄 人類が化石燃料依存から脱さないと何が起こるか
同様に、化石燃料を再生可能エネルギー資源へ切り替えるのがどれほど魅力的かも、国によって異なる。中国と日本と韓国は、厖大な量の石油とガスの輸入に依存している。
その負担から解放されれば、大喜びするだろう。ロシアとイランとサウジアラビアは、石油とガスの輸出を頼みとしている。石油とガスが太陽光と風に突然道を譲ったら、これらの国の経済は破綻する。
ナショナリストは危険を正しく認識できないかも
したがって、中国と日本とキリバスのような国は、グローバルな炭素排出をできるだけ早く減らすことを強く推奨しそうなのに対して、ロシアとイランのような国はまったく乗り気ではない。アメリカのように、地球温暖化によって多くを失う立場にある国においてさえ、ナショナリストは目先のことや自分のことばかりしか頭になく、危険を正しく認識できないかもしれない。
些細なものではあるが、それを如実に物語る例が、2018年1月に見られた。アメリカが、再生可能エネルギーへの切り替えを遅らせるという代償を払ってまで、自国の生産業者を支援するために、外国製のソーラーパネルとソーラー設備に30パーセントの関税を課すことにしたのだ。
原子爆弾はあまりに明白で差し迫った脅威なので、誰も無視できない。それに対して地球温暖化は捉え所がなく、徐々に忍び寄る脅威だ。だから、環境に対する長期的な配慮のために、つらい短期的な犠牲を求められると、ナショナリストは目先の国益を第一にし、環境のことは後で心配すればいいと言って自分を安心させたり、あっさり他の国の人に任せてしまったりする誘惑に駆られかねない。
あるいは、頭から問題を否定するかもしれない。気候変動に懐疑的な態度を取るのが、右翼のナショナリストであることが多いのは偶然ではない。左翼の社会主義者が「気候変動は中国のデマだ」などとツイートするところは、めったに見られない。地球温暖化の問題に対しては国家レベルでの答えはないので、ナショナリズムを信奉する政治家のなかには、この問題が存在しないと信じたがる人もいる。
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