ディズニー動画配信、「ローカル作品」強化の真意 ウォルト・ディズニー・ジャパンの社長を直撃

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――日本ではネットフリックスが2020年に国内会員数500万を突破するなど競争が過熱しています。本格参入に出遅れた、とは感じませんか。

他社に関してはそもそも競合と思っていない。競争と言っても、配信するコンテンツなど、同じことをして競争しているわけではない。ともに成長していく感覚だ。その中でも今までディズニーが日本のユーザーと築いてきたポジションには自信を持っている。

――巣ごもり消費の一巡で、今後伸び率が鈍化する恐れは?

動画配信市場は成長する一途だろう。人によってはスポーツを多く見たい人もいるし、お子さんがいてファミリー向けコンテンツを好む人もいる。日本のユーザーもより多くの選択肢がほしい、という欲求がある。非常にワクワクする時期であることは確かだ。

(グローバルでは2024年に会員数約2.5億人という目標を掲げているが)国内会員数の目標やグローバルとの比較は言えない。ただ、とにかくアグレッシブだということは伝えておきたい。腰を据えるために、私自身も1年半前から日本に移ってきた。

「スター」ならゾンビドラマも提供できる

いわゆる「ディズニー」作品以外に高い関心を持つ層をどう取り込むのか。ディズニー・ジャパンのキャロル・チョイ社長に聞いた(撮影:尾形文繁)

――10月にNTTドコモとの契約が見直されました。それによってグローバル規格と統一され、これまで非対応だったゲーム機からの視聴や、より高画質・高音質での視聴が可能になります。

これまではディズニープラスの会員登録にはドコモのdアカウントが必須だった。しかし、今後はそうでなくなり(ドコモ経由で入会した会員向けの一部特典は継続)、加入の機会を多く提供できるようになった。

ドコモとは10年来の付き合いで、大切なパートナーであることは変わりない。今後は(ドコモ1社だけではなく)パートナー関係を拡大させることもあるだろう。

――今までは「ディズニー」ブランドのイメージが強く、ディズニー好きを集められた一方、「ディズニー」以外に関心が高いそのほかの多くのユーザーを取りこぼしていたように見えます。

まさしくその通りだ。ディズニープラスには「ディズニー作品」しかないと思っている人も多い。ディズニープラスにはピクサーもあれば、マーベル、スターウォーズ、ナショナルジオグラフィックもある。ただ、これらディズニーブランドの作品の多くはアメリカで制作され、グローバル向けに配信されているものだ。

多くのユーザーは、韓国コンテンツやゾンビが登場するテレビドラマ「ウォーキング・デッド」のような(従来のディズニーとは)異なるジャンルも求めている。ここに新ブランド「スター」を追加することで、さまざまなコンテンツをユーザーに提供できるようになった。

それこそ、昔は「ウォーキング・デッド」をディズニープラスで配信していいのか、という声もあったが、現実、ランキングの上位にいる。(ディズニー以外のコンテンツを拡大することで)アクティブ率や滞在時間も激増している。私たちの歩んでいる道は間違っていない。

次ページ「more than Disney」をじっくり伝える
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