ディズニー動画配信、「ローカル作品」強化の真意 ウォルト・ディズニー・ジャパンの社長を直撃

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――今後はローカルコンテンツの提供を積極的に行う方針ですね。

2023年までに50作を超えるAPACのオリジナル作品を投入する予定だ。とくに日本ではこの部分にフォーカスすべきだと思っている。

最近ではネットフリックスなどでもアジアコンテンツの人気が高まっており、世界的に韓国ドラマや日本アニメが人気だが、日本のベストなストーリーを、ディズニープラスを介して全世界に発信していきたい。

私たちは「more than Disney (ディズニーだけじゃない)」という点を強調しているが、こうしたことが伝わるには時間がかかるだろう。さまざまなキャンペーンや施策でこのことを理解してもらいたい。

ディズニーと日本の作り手をつなげる

キャロル・チョイ(Carol Choi)/ウォルト・ディズニー・ジャパン社長。2006年ウォルト・ディズニー・カンパニー入社。中国でマーケティング担当バイスプレジデント、韓国でのマネージング・ディレクターなどを経て、2020年3月より現職。最も好きなディズニーキャラクターはミニー(撮影:尾形文繁)

――ネットフリックスをはじめ、各社は強力なコンテンツを独占配信すべく獲得競争を繰り広げています。人気作品では配信権の高騰も懸念されます。

コンテンツの作り手たちは非常に多い。ようやくディズニーがこういった分野に入ってくれたのか、と待ち望んでいた人も多くいるだろう。

ディズニーのプラットフォームに載せることで、全世界にコンテンツを配信できる。私たちとのコネクションを持てることは、クリエーターにとってのモチベーションになるだろう。いわば、ディズニーのクリエイティブの一員になれるのだ。

今後はAPACの各地のクリエーターがディズニーのスタジオを訪れたり、現地のクリエーターと交流できたりするプログラムも立ち上げる。このプログラムがアメリカのスタジオと(日本のクリエーターを)橋渡しする一つのきっかけになると思う。

私たちは最高のストーリーをディズニープラスに届けたい。そのためクリエーターには、各地域のクリエイティブなプロセスを尊重して、オープンで柔軟な対応をしていきたい。

――ローカルコンテンツの制作にどれぐらいの予算を準備していますか。

コンテンツのジャンルや表現手法によっても違う。そのため予算がどれくらい、ということは言い難い。1エピソードでこの予算の範囲内にしたい、ということも決められない。

ただ、魅力のある作品を作りたいと思っている人たちをサポートできる体制を作り上げる。お金は重要な要素だが、私たちが一緒にどのようにクリエイティブしていくのか、その化学反応こそが重要だ。

例えば、私たちが持っている特殊効果の技術を提供することでストーリーをより良くすることもできる。私たちが持っているコンテンツを各地域のクリエーターが作る、といったこともあるだろう。独自コンテンツの内容や誰と組むかといった意思決定は、日本のチームで実施していく。

コンテンツや視聴方法に対する好みはどんどん進化している。ユーザーが感じる速度に合わせて、私たちもきちんと満足いくコンテンツを出し、その規模を最大化させるか、という点が最大の宿題だと思っている。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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