イギリスの「鉄道防犯対策」は日本と何が違うか ロンドン同時テロ後に防犯カメラ設置を徹底
防犯カメラは地下鉄車内だけでなくプラットホームにも多数設置されている。地上駅でカメラがむき出しになっているのを数えてみると、7両編成の車両に対して6台のカメラがあった。
これらのカメラ映像のモニター画面は運転士も見られる仕組みだが、駅、そしてロンドン交通局(TfL)の運行管理センターでも確認できるという。仮にどこかの車両で放火や爆発が起きても、カメラを通じて概ねの車両位置やトラブルの状況を遠隔で把握できるようになっている。
こうしたカメラを交通局などに卸している業者は、「ロンドン市民は街の防犯カメラで1時間平均13コマは撮られている」というデータを開示している。これは交通機関だけでなく、ビルやショッピングモールなどあらゆる場所を合計しての数値と思われるが、いずれにせよ「あらゆるところで監視されている」と思ってよさそうだ。カメラの映像に、非接触式ICカード乗車券「オイスター」の行動データを組み合わせると、乗客の動きはかなりの確率で特定できるとされている。
長距離列車の非常設備は飛行機のよう
一方、長距離列車にはどのような非常用設備があるのだろうか。今やイギリスで一大勢力となった日立製の長距離列車「クラス800シリーズ」の例を見てみよう。
筆者が確認したのは、ロンドンとスコットランド方面を結ぶロンドン・ノース・イースタン・レールウェイ(LNER)「あずま」の非常用設備案内だ。各車両のデッキ部分に詳細な非常時案内のピクトグラムが貼り付けられている。情報が1カ所にまとまっていてわかりやすい。
どんなことが書いてあるのか。読んでみると、航空機に搭乗した際に耳にする安全の案内によく似た内容となっている。
まずステッカーの一番上に「この車両内の出口や緊急用の設備の位置をよく理解しておいてください」(Please familiarise yourself with the location of exits and emergency equipment in this coach)と赤地に白い文字での注意書きがあり、その下に「非常時の場合」(In Case of Emergency)の対応が緑地に白文字で記してある。
「非常時の場合」の対応については、「ほとんどの緊急事態では、列車内にとどまることが最も安全です」(In most emergency situations it is safest to remain on the train)との説明がある。そして「必要であれば、列車が停止した後、外部のドアから脱出してください」「避難先は線路が敷かれた面(へ降りることになります)」など、脱出する際の注意についても触れている。
また、平面図を見ると、非常用のSOSボタンはデッキだけでなく客室内にもあること、消火器のほかAED(自動体外式除細動器、案内ではDefibrillator)が客室内に備え付けられていることがわかる。
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