NFTビジネスはいったいどこに向かっていくのか NFT事業に参戦した経営者が考える新しい時代

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところが株式会社という仕組みができて、自分のビジョンに賛同する投資家たちがいれば、誰でも事業にチャレンジできるようになりました。それが究極的に完成したのがシリコンバレーだと思います。投資が続く限り自分の事業が続けられる。これが株式会社の画期的なところなのです。

株式会社の矛盾を解決する「フィナンシェ」

さて、近年「これからは企業の時代ではなく、個の時代だ」といわれるようになりました。ユーチューバーがわかりやすいと思いますが、アーティストはもちろん、スポーツ選手なども含めたクリエイター個人が中心のエコノミーが生まれてくるというわけです。

でも、彼・彼女らが自分のやりたいこと、ビジョンを実現するために株式会社が最も適した仕組みかどうか。僕は極めて疑問に思っています。

『NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

たとえば、ある男性ユーチューバーがおもしろい動画に挑戦したいと、株式会社をつくってベンチャーキャピタルからお金を集めたとします。ただし、株式会社は成長し続けなければダメなのです。つまり、売り上げアップを続けて利益を増やし続けなければいけない。ということは、彼が自分1人で活動していたら会社の成長に限界があるので、必然的にほかの人を雇うしかなくなるわけです。

ここには大きな矛盾があります。彼は優秀なクリエイターかもしれないけれども、優秀なティーチャーじゃない可能性があるし、たとえほかの人を教育できたとしても、彼のファンは彼が育てた人を見たいのではなく、やはり彼自身を見たいのです。

こうした矛盾を解決するのがフィナンシェというわけです。フィナンシェでは、クリエイターは、自分のやりたいことを実現する資金を集めるために自分のトークン(NFTやポイント)を発行します。それを買うのはクリエイターのファンです。ファンたちは売り上げや利益は望んでいません。基本的には自分たちが出した資金でできたクリエイターの作品がリターンになります。この仕組みなら株式会社のような矛盾は存在しません。

要は、売り上げや利益など企業の時代の価値の尺度は、個の時代には合わないということ。つまりクリエイターズ・エコノミーは、それ以外の尺度を持つ必要があります。これが株式会社の再発明、資本主義のアップデートなのです。

國光 宏尚 Thirdverse、フィナンシェ 代表取締役CEO/ファウンダー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くにみつ ひろなお / Hironao Kunimitsu

1974年生まれ。アメリカ・Santa Monica College卒業後、2004年5月アットムービーに入社。同年に取締役に就任し、映画・テレビドラマのプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当する。2007年6月、gumiを設立し、代表取締役社長に就任。2021年7月に同社を退任。2021年8月よりThirdverse代表取締役CEOおよびフィナンシェ代表取締役CEOに就任。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事