東武20400型、都心の顔が「北関東の主」に大変身 元は日比谷線直通車両、栃木で歩む第二の人生

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さながらパズルのようだが、この複雑な組み換えにはちゃんと理由がある。「一番改造量が少なくなるように、元5扉の車両をなるべく使わないように工夫した結果です」と泉川さんは説明する。

車両の改造で規模がとくに大きくなるのは、「中間車両を先頭車にすること」と泉川さん。運転室を設置するなど大がかりな工事が必要になるためだ。このため、元5扉の車両であっても先頭車両は活用することにした。その結果生まれたのが、両端の先頭車が5扉車改造の21430型だ。

中間の1両だけ元5扉車のタイプがあるのも、やはり大きな改造を伴う機器類の変更をせずに済むよう考慮した結果という。電車には車内照明やクーラーなどの電源を供給する補助電源装置(SIV)が必要だ。改造元の8両編成のうち、この装置を搭載していたのは3扉の5号車と5扉の7号車。前者を使えばよさそうに思えるが、この車両は「地下鉄用装備などを積んだ特殊な車両だった」(泉川さん)ため、7号車を3扉に改造することになったという。

「三位一体」で生まれた5扉改造車

5扉車を改造した車両は、もともと3扉の車両とは明らかに違う外観が特徴だ。

元5扉車を改造した車両(記者撮影)

ドアだった部分はふさがれているが、外観はドアの縁取りがそのまま残っており、窓の大きさや形も違う。シートも、もともと3扉の車両は10人がけだが、5扉改造車は9人がけだ。ドアをふさいだだけでなく、実はドア開閉ボタンを取り付ける際に配線が干渉するため、窓も一部埋めている。

改造がなるべく少なくなるように工夫したとはいえ、5扉車を3扉に変えるのは大工事だ。20400型は設計を日立交通テクノロジー、施工は津覇車輌工業がそれぞれ担当した。泉川さんは、「この改造は完成後の検査をする私たち(東武)、設計を担当した会社、そして実際に工事をした会社の方々の、まさに『三位一体』でできあがっています」と語る。

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