産業リサーチ(医薬品) 大再編が進んだ欧米に比べて、日本の製薬会社は規模が中途半端、研究開発費に見劣り

欧米の製薬業界では1990年代後半から2000年にかけて国境を越えた再販の嵐が駆け抜け、業界勢力図が一変した。
 1996年にチバガイキー(スイス)とサンド(スイス)が合併しノバルティスになり、1999年にはヘキスト(独)とローヌ・プーラン(仏)が合併しアベンティスが誕生した。同じ年、ゼネカ(英)とアストラ(スウェーデン)が合併しアストラゼネカが生まれ、2000年にはグラクソ・ウエルカム(英)とスミスクライン・ビーチャム(英)が合併しグラクソ・スミス・クラインが発足した。
 2000年にはファイザーが、ワーナーランバート(米)を吸収。この結果、米国のファイザーを筆頭に医薬品の売上高だけで1兆円を越えるメガファーマが12社(2001年末データ)も誕生。ファイザーは2002年、ファルマシア(米)の吸収を決め、さらなる巨大化の道を走る。
 その一方で、日本では大きな再編の動きは見えてこない。国内トップをいく武田薬品工業も世界で見れば15位にすぎない。20位代に三共、山之内製薬、塩野義製薬、エーザイ、第一製薬が名を連ねるが、武田でさえ、世界10位に入ろうとすればいまの2倍近くの売上げが必要になる。
 欧米の製薬企業が合併を急いだのはなぜか。それは高騰する研究開発費の捻出にある。
 2001年にヒトゲノム(全遺伝情報)の解読がほぼ終わったことに象徴されるように、生命科学はこの10年飛躍的な発展を遂げた。いかに早く新薬の候補物質を見つけ出して新薬の発売にこぎ着けるか、時間との競争になってきた。
 ファイザーの研究開発費は48億ドル、グラクソ・スミス・クラインが三八億ドル、トップ10に入る大手は20億ドル前後を研究開発費に投じる。日本勢は武田薬品でさえ7億ドル強。金額面では大きく見劣りする。
 厚生労働省が2002年にまとめた「医薬品産業ビジョン」では、今後の製薬企業の姿として、【1】世界的なメガファーマ、【2】得意分野で一定の評価を得るスペシャリティファーマ、【3】特許の切れた後発品の専門のジェネリックファーマ、【4】一般薬のOTCファーマ、の4つに類型化している。
 ところが日本企業は、そのいずれにも該当しないと言ってよい。世界と競争するには規模では中途半端。スペシャルな開発力があるわけでもない。日本オリジンの世界的な医薬品の数は限られており、充分な実績があるわけではない。
 日本の医療用医薬品市場は5兆8000億円、一般用医薬品(通常の薬局で買える薬)が8000億円。米国に次いで世界第2位の規模だ。
 外資系はその日本での攻勢を強めている。2002年大手下位の中外製薬はロシュ(スイス)の傘下に入った。医薬品の大再編劇は意外に近いかもしれない。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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