5度の事故で問われる新日鉄住金の安全文化 会社は老朽化を否定、いったい何が原因なのか
今年に入って、これで5度目のトラブルだ。9月3日、新日鉄住金の名古屋製鉄所で火災が発生。同社社員11人と協力会社の社員4人が負傷する事故が起きた。
火災が発生したのは、石炭を蒸し焼きにするコークス炉へ原料を搬出する貯蔵設備。12時過ぎに火の手が上がると、ゴム製のベルトコンベヤーに引火し、炎や煙が急激に広がったもようだ。
「皆様にご迷惑をおかけして、大変申し訳なく思っております」――。同日開いた緊急会見で、酒本義嗣・名古屋製鉄所長はそう言って深々と頭を下げた。その一方で、「原因については調査中」と繰り返すばかり。警察が現場検証を行っているため、事故の詳細な因果関係がつかめていないとみられる。
コークス炉本体が破損したかについても、確認が取れていないという。コークスと鉄鉱石を原料にして鉄を生産する高炉と呼ばれる設備は現在、送風を停止し、稼働率を落としている。また、川下に当たる圧延工程などは稼働を停止した。コークス炉を含めた設備の再稼働時期は未定としている。
自動車向けに高稼働続く
名古屋製鉄所はトヨタ自動車など自動車メーカー向けの薄板を生産しており、新日鉄住金にとって基幹製鉄所の1つ。足元は自動車の生産が好調なことから、フル稼働が続いている。ただ、高水準の需要とは裏腹に、今年に入って設備トラブルが相次いでいる。
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