ソフトバンクを分析する Tモバイル「買収白紙」の影響はあるのか?

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一方、問題は、これからスプリントをどうするのかということです。このままでは収益力も高まらず、鳴かず飛ばずになってしまいます。元々、スプリントを買収したときにTモバイルとの統合を想定していたのであれば、当初の思惑が大きく外れてしまったということになります。

最新の決算はどうなっているのか

 ソフトバンクの最新の決算である2015年3月期 第1四半期決算(2014年4〜6月)も見ておきたいと思います(損益計算書、24ページ参照)。売上高は、前の期より126%増の1兆9922億円まで伸びています。これは、先ほども触れましたが、昨年7月にスプリントを買収したことで、2社の売り上げが合算されたのです。同様に、売上原価や販管費も倍以上に増えています。

ただ、営業利益は前の期より15.6%減の3376億円となりました。これは、前の期にソーシャルゲーム「パズドラ」で大ヒットを収めたガンホー・オンライン・エンターテイメントを子会社化したことによる一時益が出ていたからです。損益計算書には、「企業結合に伴う再測定による利益」として1501億円が計上されています。それが今期にはなくなり、減益になったというわけです。

少し専門的なことを説明しますと、一般的には、こういった一時的な利益は「特別利益」として計上されますが、ソフトバンクが採用している米国会計基準には、特別利益や特別損失、経常利益などの概念がありません。ですから、一時的な損益も、すべて営業利益に含まれてしまうのです。

この一時益を除くと、営業利益は前の期より34.5%増えたということで、孫正義社長は業績に自信を見せました。

損益計算書に戻ります。もう一つ注意すべきは、この期に「持分法による投資損益」がマイナス634億円計上されている点です。これは、ソフトバンクの関連会社である中国の電子商取引最王手アリババ・グループ・ホールディング上場準備に伴う一時的な損失です。

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