岸田首相「任期中の改憲」掲げたモヤッとする思惑 「自民党のリベラル」宏池会の領袖がなぜ?

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岸田首相は11月10日夜の第2次政権発足を受けた記者会見で「自民党総裁としては憲法改正が重要な課題。今回の総選挙の結果を踏まえ、茂木敏充幹事長に党是である憲法改正を進めるため、党内の体制を強化するとともに、国民的議論のさらなる喚起と国会における精力的な議論を進めるよう指示した」と明快な口調で語った。

さらに岸田首相は、改憲勢力の日本維新の会、国民民主党の議席増を念頭に「改正を実現するためには、与野党の枠を超えて3分の2以上の賛成が得られるようにしっかりと努力を続けていくことが大事だ」とも強調した。

これは、9条改正を軸とする自民党の改憲案には慎重な与党・公明党を意識した発言にもみえる。

今回衆院選で41議席を獲得し、公明党を抜いて第3党に躍り出た維新は、岸田政権の改憲への取り組みについて「やるやる詐欺だ」(吉村洋文大阪府知事)と批判。しかし、岸田首相から協力を求められれば、「第3党として早期改憲実現を目指すのは当然」(維新幹部)との立場だからだ。

さらに、立憲、共産両党と一線を画して議席を増やした国民民主党も、玉木雄一郎代表が衆院選後、「憲法審査会を毎週開いたらいい」と改憲論議促進を求めた。これも踏まえ、維新代表の松井一郎大阪市長も「来年の参院選の投票と同日で改憲の国民投票を実施するべきだ」と発言した。

第2次岸田政権発足前日の11月9日には、維新、国民民主両党が、幹事長・国対委員長会談で、衆参両院での憲法審査会定例日開催を与党側に要求することで合意した。まさに、国会での「第3勢力」となった両党が改憲論議の旗振り役となった格好だ。

自民党も維新、国民民主との連携強化に着手

これと並行して自民党も維新、国民民主両党との連携強化に着手。茂木幹事長が11月9日夜に維新の馬場伸幸幹事長と会食し、「国民投票法を何としても一度は国民の手に委ねたい」と早期の改憲国会発議と国民投票実施で協力要請した。

こうした状況も踏まえ、岸田首相は10日夜の記者会見で憲法改正への具体的な取り組みを問われると「新しい内閣がスタートしたことを受け、また今回の衆院選の結果を受けたうえで、より憲法改正についてしっかりと取り組んでいかないといけない。こうした声は党内にも高まっていると受け止めている」と真剣な表情で語った。

さらに「国会の議論と、国民の皆さんの憲法改正に対する理解の2つは車の両輪。この両方がそろわないと憲法改正は実現しない。ともにしっかりと進めていかなければならないと思っている」とし、自民党政調会長時代の地方行脚での経験も持ち出して改憲実現への意欲を熱っぽく訴えた。

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