ダイハツ「軽ハイブリッド」20万円高になる根拠 ヒントはロッキー「e-SMART HYBRID」にあり
ロッキー/ライズe-SMART HYBRIDの記者発表でも、ダイハツは詳細な説明を避けながら、軽自動車への発展を示唆していた。先に述べた通り、e-SMART HYBRIDはコスト低減に力を入れ、ガソリン車との価格差を28万9000円に抑えている。
軽自動車は、国内における新車販売台数の40%近くを占めるから、大量生産によるコストの低減効果も大きい。また、ダイハツやスズキが扱う軽自動車の場合、販売促進などに必要な営業関連の費用も、他メーカーの小型車に比べて安い。
そのため、ハイブリッドのような凝ったメカニズムも、軽自動車は小型車よりも安く搭載できると言える。
例えば小型車の4WDは、2WDに比べて17万~20万円高いが、軽自動車では12万~14万円の上乗せに収まっている。ターボエンジンも、小型車の場合は装備の違いを補正して12万円前後は高くなるのが一般的だが、軽自動車ではわずか5万~8万円の上乗せにとどまる。
軽自動車のターボモデルは価格が高いケースが多いが、それはサイド&カーテンエアバッグ、アルミホイールといった装備が追加されるためだ。
4WDやターボの価格を考えると、軽自動車のメカニズムは小型車の約70%の価格で装着されると言える。そうなると、ロッキー/ライズで28万9000円高となるe-SMART HYBRIDは、軽自動車に搭載した場合、20万円に収まる。
e-SMART HYBRIDの搭載に伴う20万円という価格アップは、軽自動車にとって許容範囲ギリギリだろう。仮に30万円高になるとすると、「タント」で標準ボディの主力グレード「X」(149万500円)でも、ハイブリッド化によって180万円近くに達する。これでは割高感が強く、売れ行きに支障が出てしまうだろう。
それが20万円の上乗せなら、169万円だ。エアロパーツなどを装着した売れ筋の「カスタムX」(172万1500円)よりも少し安い。「エアロパーツを装着したカスタムか、燃費の優れたハイブリッドか」という選択も成り立つ。
軽自動車のハイブリッド化が必要な理由
このように、ロッキー/ライズのe-SMART HYBRIDは、今後の軽自動車への展開も踏まえたものなのだ。e-SMART HYBRIDにとってロッキー/ライズへの搭載は序章であり、本命は軽自動車にあるといっていい。
では、なぜそこまでしてハイブリッドを軽自動車に搭載しなければならないのだろうか。その理由は、「2030年度燃費基準」にある。
2020年度と同様、CAFE(企業別平均燃費基準方式)を採用するが、基準値が大幅に引き上げられるのだ。
例えば、自然吸気エンジンを搭載するタントXの場合、車両重量は900kgでWLTCモード燃費21km/L、JC08モード燃費27.2km/Lだ。2020年度燃費基準では、900kgの車両重量に相当するJC08モード燃費は23.7km/Lだから、27.2km/LのタントXは余裕を持って達成している。
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