日本人は「在宅死」の尊さを意外にわかっていない 医療技術に心配は無用、最後は自分の意思で

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在宅医療、ヘルパーによる訪問介護などを受けている方が、誰もいないときに息を引き取っても、それは孤独死ではありません。意識レベルが落ちてしばらく経ってから亡くなるので、孤独を感じることもないでしょう。

娘や息子、きょうだい、遠い親戚も含めて、「ひとり暮らしなのに最期まで家で過ごすなんてとんでもない」「孤独死するなんてかわいそう」などと言い出しそうな身内がいるのなら、現在の病状や在宅看取りがどういうものなのか、在宅医などに説明してもらっておくようにすると、認識が共有できます。 (医療法人社団悠翔会理事長/診療部長 佐々木淳医師)

在宅に帰りたいなら早めに主治医へ伝える

Q)病院の主治医に「最期は在宅にしたい」と伝えても大丈夫ですか?

A)もちろん、自分の気持ちを正直に主治医に伝えて構いません。今は主治医がひとりですべての決定をし、意に沿わないことは行わないという時代ではありません。患者さん自身が在宅へ帰りたいという希望があり、家族が受け入れられるならば、主治医はなんとかしてその希望を叶えようとするでしょう。

ただし残された時間があまり多くない場合、ゼロから準備するとしたらためらうかもしれません。在宅医療に必要な介護保険の申請や在宅医を探すだけで1〜2週間があっという間に過ぎてしまうからです。

在宅に帰りたい希望があるのならば早めに主治医へ伝えましょう。主治医に言いにくいときは看護師でも大丈夫。今はチームで医療を行うことが主流ですから、主治医が不安を抱いても、看護師や薬剤師、MSW、緩和ケアチームなどのサポートによって、在宅に帰ることができたケースはいくらでもあります。さまざまな職種の中から、自分の味方になってくれる医療者を見つけておいて希望を伝えておけば安心でしょう。 (川崎市立井田病院・かわさき総合ケアセンター腫瘍内科/緩和ケア内科医長 西智弘医師)

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