"GDP想定外ショック"で綻ぶ日銀シナリオ

黒田日銀のシナリオに狂いはないか

速報後の記者会見で、甘利明・経済財政担当相は大幅ダウンの「釈明」に追われた。「従来の駆け込み需要、それによる反動減という範囲の中。これまで駆け込み需要で伸びて、反動減で下がっている。それを受けて次(7~9月期)がかなり上昇するのは間違いない」と述べたが、さすがに苦しさは否めない。

エコノミストの多くは7月初めまで、4~6月期のGDPの落ち込み幅をマイナス3~4%台と見込んでいた。それがわずか1カ月でマイナス6.8%の大幅な下方修正。消費増税の反動減は、なぜここまで大きくなったのか。

国内消費の弱さ

一つはGDPの約6割を占める国内消費の想定以上の弱さだ。円安で輸入物価が上昇していたのに加え、消費増税が物価をさらに押し上げ、消費にダメージを与えた。

民間最終消費支出は前期比マイナス18.7%と大きく落ち込んでしまった。JPモルガンの足立正道シニアエコノミストは、「これほどの落ち込み幅はオイルショックの1974年以来。日本経済の実力がどれほど脆弱か。もっとしっかりと認識すべきだ」と指摘する。

当初、4月からの消費増税の影響については、1997年の増税時よりも雇用や所得環境はよく、それほど大きくはないとの見方が存在した。

しかし、シティグループ証券の村嶋帰一マネジングディレクターは、「問題は名目賃金ではなく実質賃金。1997年の増税時と比べると、今回のほうが実質所得の落ち込みははるかに厳しかった」と語る。

アベノミクスが始まって以降、円安が進み、実質賃金は前年比マイナスの領域で推移している。多少の賃上げやボーナス支給があったとしても、それ以上に物価が上昇し、消費者の懐は豊かになっていない。

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