トップ交代に新料金、ソフトバンク戦略転換 米国での単独路線に勝ち目はあるか
料金プランに加え、ソフトバンクと共同開発した戦略端末(シャープ製)も投入する。大画面が特徴だが、従来機種と比べて防水機能やおサイフケータイ機能がなく、米国向けの仕様であるのは明らか。「米国でも『AQUOS』ブランドは強い。独自端末の提供で競争力が増す」(ソフトバンクモバイル・マーケティング戦略統括部の田原眞紀統括部長)と自信を見せる。
通信網の増強が喫緊の課題
矢継ぎ早に新戦略を打ち出すスプリントだが、一時的にプランがヒットしても、「販売戦略には“賞味期限”がある。通信会社の最終的な実力は通信品質やサービス、ブランドなど総合力で決まる」(情報通信総合研究所の岸田重行上席主任研究員)と指摘されるように、スプリントにとって通信網の増強が喫緊の課題だ。
高速通信LTEのエリアは都市部に集中し、2強と比べると地方のエリア整備で大きく劣る。また「子会社クリアワイヤが豊富に保有する2.5ギガヘルツ帯の周波数が最大の武器だったが、アイフォーンが対応しておらず、十分に活用できなかった」(岸田研究員)という事情もあった。
今はソフトバンクモバイルの宮川潤一CTO(最高技術責任者)らのチームを中心に、現地の技術陣と通信エリアの構築に取り組んでいる。Tモバイルの買収中止を機に、攻勢へ動きだしたスプリントとソフトバンク。孫社長はTモバイルの買収をあきらめていないようだが、当面は厳しい単独路線を強いられそうだ。
かつて日本で見せたボーダフォンの復活劇を再現できるか。米国市場切り崩しに向け、グループを挙げた総力戦が始まる。
(撮影:梅谷秀司 「週刊東洋経済」2014年8月30日号<8月25日発売>掲載の「核心リポート02」を転載)
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