トップ交代に新料金、ソフトバンク戦略転換 米国での単独路線に勝ち目はあるか
8月11日、同社のCEOを、ソフトバンク傘下の端末卸会社ブライトスターの創業者であるマルセロ・クラウレ氏(43)に交代すると発表。クラウレ氏は孫社長が「山賊のような顔のストリートファイター。販売に強い才覚がある」と太鼓判を押す人物だ。
ダン・ヘッセ前CEOの時代には通信網の強化が中心だったが、今回のトップ交代は販売攻勢をかける体制へ移行したことを意味する。
さらに間髪入れず、8月19日には他社の2倍のデータ通信量(20ギガバイト)を最大10回線で共有できる月額100ドルの新プランを発表し、“新生スプリント”を強烈にアピールした。スプリントは今年1月、家族や友人同士でグループを作り、回線数が増えると料金が割引される戦略プラン「フラミリー」を投入している。
米国では独り負け
だが、スプリントの4~6月期の契約数は33万の純減。ファミリー層の取り込みを狙ったものだったが、「十分な顧客の純増につなげる力はなかった」と孫社長も認める。「今回のプランは米国でテスト販売を繰り返して決めた。競合と比べてお得感があり、わかりやすいプランを狙った」(ソフトバンクの藤原和彦取締役)と説明する。
米国市場では、2強が市場の7割を占拠する。スプリントは契約数の純減が続き、独り負け状態。一方、次々と画期的な料金プランを打ち出し、契約数を増やして猛烈に追い上げるのがTモバイルだ。
ジョン・レジャーCEOは「We will not stop」とさらなる攻勢を予告している。もっとも、ソフトバンクは買収で取り込むことを前提に、Tモバイルの攻勢を“許していた”という見方もできるが、2強とともに今後は手強い敵になる。
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