日本人に大災害より確実に「人生大転機」が来る訳 「震災復興とライフシフト」で考えるレール人生

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1つは、国民が将来必要となるスキルとキャリアを得られるようにすること。大学、企業、ハローワーク等のデータにより、現在と今後の仕事の需要を把握することができる。そのうえで、次の時代に求められるスキルや知識を、政府が提供していく必要がある。

『人生100年時代の国家戦略――小泉小委員会の500日』(画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

いま1つは、長寿経済を築くことだ。現時点では、高齢者が増えても経済は拡大せず、むしろ医療費や介護費といったコストがかかる構造になっている。女性の場合、職を持つ方が増えたことで、結果として消費は押し上げられた。同様に、高齢者が増えても経済が拡大するような構造に転換することが求められている。

4年ぶりの衆院総選挙では、自民党も立憲民主党も議席数を減らした。大物議員が与野党ともに相次いで負け、甘利幹事長も枝野代表も辞任することになった。日本社会が求めているのは右か左かではなく、世代交代だったのだろう。

社会や個人の変化を見据え、社会構造の改革を進めることができるか。与党・野党の別を問わず、政治にはその点を期待されている。『人生100年時代の国家戦略』が、いよいよ求められている。

大災害以上に確実にやってくる未来

長寿化と技術進歩によるライフ・シフトは、大災害以上に確実にやってくる未来である。しかし、防災と同じように、政府がライフ・シフトをすべてカバーしてくれることはない。個々人の備えが何より必要だ。

次のキャリアに向けた考えを巡らせる時間を持てているか。常に複数の選択肢を持てているか。自分が変化しても支えてくれる関係を家族や友人たちと持てているか。自問自答を続ける必要がある。

コロナが収束しつつある中、いよいよ行動に移す時が迫っている。テレビやネットを眺めているだけでなく、自分の人生を歩み始めるために、『ライフ・シフト2』はこの冬ぜひ手にとっていただきたい一冊だ。

藤沢 烈 社会起業家、一般社団法人RCF代表理事

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ふじさわ れつ / Retz Fujisawa

1975年京都府生まれ。一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立し、NPO・社会事業などに特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災後、RCF復興支援チーム(現・一般社団法人RCF)を設立し、情報分析や社会事業創造に取り組む傍ら、復興庁政策調査官も歴任。総務省地域力創造アドバイザー、釜石市地方創生アドバイザーも兼務。復興活動の中で小泉進次郎氏と出会い、小泉小委員会(2020年以降の経済財政構想小委員会)民間オブザーバーに就任。主な著作に『社会のために働く』(講談社)、『人生100年時代の国家戦略』(東洋経済新報社)がある。

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