日本人に大災害より確実に「人生大転機」が来る訳 「震災復興とライフシフト」で考えるレール人生

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やや余談になるが、人口減少が進む福島のような地方にこそ残る仕事がある。それは、教育、医療、飲食、エンタメといった対人サービスだ。福島に限らず全国で人口減少は進んでいるが、毎年の減少率は1%程度にすぎない。

一方で、市場が減少していると新規参入が起きないため、人の減少以上にサービスの減少幅のほうが大きい。そのため、地方では対人サービスの需要は残り続けている。移住希望者の目は厳しい。移住を進める地域の人間として、時代の流れから見て残り続ける仕事をいかに提示できるかが重要だと、日々感じている。

「私の思考は狭まっていないか」「私は何に時間を使うべきか」。本書はこうした問いを自分に投げかけ続けるべきだという。今の仕事と生活から時々はなれ、自分にとっての物語とは何かを見出していく必要がある。

キーワード2 「探索」 なぜ選択肢を増やし続けるのか

物語を思い浮かべるだけでなく、本書は行動を促している。ただし直線的にゴールを目指す方法とは異なる、「探索」という手法が示されている。一時期の学びや仕事で現代の長い人生を生き切ることはできず、常に新しいキャリアを探し続ける必要があるからだ。

探索に向けたポイントも3つある。

1つ目は、選択肢を増やすこと。人生100年時代では、1つひとつの職業期間は短くなるが、通算の職業人生は大幅に長くなる。1つの仕事を長く続けることよりも、その場その時に合わせて仕事を選べることが重要になる。仕事の報酬は、仕事。金銭ではなく、仕事を増やし続けられるかが、良いキャリアの定義となる。

2つ目は、学び続けること。小中高大の16年間学んだだけで、人生100年を乗り越えることはできない。テクノロジーによって社会は変化し続ける。選択肢を増やすためにも、学びを止めないことは必須だ。

3つ目は、足場を持つこと。誰と過ごし、どこに住むかが、選択肢と学習にとって決定的な条件となる。そうした環境を自ら用意し続けることが必要になる。

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