JR九州「長崎新幹線」で変貌迫られる観光列車戦略 或る列車は博多―由布院間に転出、料理も変更

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運行コース変更に伴い、車内で提供する料理もスイーツからコース料理に変更した。料理の監修は成澤氏が引き続き担当する。成澤氏はコース料理の提供を打診されると、「食材の幅が広がる。むしろ歓迎すべきことだ」と即座に了承した。もともと九州の食材をふんだんに用いた料理を出したいという思いもあった。旬の食材を使えるよう、メニューは季節ごとに変えていくという。

10月31日に報道陣向けの試乗会が行われた。報道陣を乗客に見立てた本番さながらの訓練運行だ。キッチンでは、揺れる車内で3人のシェフたちが慎重に料理の盛り付けをしている。その様子を成澤氏がじっと見守っていた。

キッチンで料理を盛り付けるシェフたち(記者撮影)
車内でスタッフに指示する成澤由浩氏(記者撮影)

シェフたちは南青山の店舗で成澤氏の指導を受けてきた。「みんな努力家だね。私が教えたことをほんの少しでもおろそかにすることをしない」と、成澤氏もシェフたちに太鼓判を押す。

車内では6人の客室乗務員がサービスを行う。ゆふいんの森をはじめ九州のさまざまな観光列車で乗客をもてなしてきた経験を持つ。とはいえ、或る列車でのコース料理を提供するのは初めての体験だ。すべての料理を出し終わり行程も終盤にさしかかった頃、成澤氏は客室乗務員たちを集めてミーティングを始めた。「現場で採れたものがお皿に載っているということをもっと強調して説明してください」と成澤氏が話しているのが漏れ聞こえてきた。

由布院は「JRとともに生きる町」

コロナ禍の影響を受けていない2018年度における由布院駅の1日平均乗車人員は1086人だった。年間に直せば39万人だ。一方で2018年に由布市を訪れた観光客は442万人。つまり、交通手段別では鉄道のシェアは8.8%にすぎない。観光客の大半はバスやマイカー、レンタカーで由布院を訪れている。

しかし、世間一般の由布院への交通手段としてイメージされるのは鉄道だろう。由布院のシンボルである由布岳をバックにJR九州の列車が走る姿はあまりにも有名だ。「由布院はJRとともに生きる町です」と、由布院の老舗旅館「玉の湯」の桑野和泉社長が話す。桑野氏はJR九州の社外取締役も務めている。

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