米軍震撼させた「中国の極超音速ミサイル」の性能 その衝撃はスプートニク・ショックに匹敵
アメリカの核防衛をかいくぐる目的で中国が設計した極超音速ミサイルの実験は、アメリカにとって「スプートニク・ショック」に「極めて近い」ものだった。10月27日、軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長はそう語り、中国の兵器実験がアメリカ当局にとっていかに衝撃的だったかを公の場で初めて認めた。
中国政府が巨額の資金を投じて軍事力の近代化を進め、核軍拡を模索しているとみられる中で行われた今回のミサイル実験により、冷戦時のような軍拡競争が再燃しかねない事態となっている。
「射程無制限かつ迎撃不能」
イギリスのフィナンシャル・タイムズがいち早く報じた2度の実験は夏に行われたもので、その光景は中国政府の狙いどおりアメリカの衛星からはっきりと確認できていたはずだ。ところが、アメリカの高官は27日にミリー氏がブルームバーグテレビジョンのインタビュー番組でこの件について話すまで、ほぼ沈黙を貫いていた。
ミリー氏は「スプートニク・ショックに完全に匹敵するのかどうかはわからないが、それに極めて近いと思う」と話し、自らを含む軍幹部は衝撃を受けたと明かした。「軍事技術上、極めて重要な出来事」であり、「われわれのすべての注意を向けている」という。
アメリカにとって驚きだったのは、中国が2つの技術を組み合わせた点にあるようだ。1つは、ミサイルを地球の周回軌道に部分的に乗せることで射程距離の制約を事実上取り払う部分軌道爆撃システムの技術。もう1つは、経路を急激に変化させながら飛行することで、アメリカが現在配備するあらゆるミサイル迎撃システムを時代遅れの産物に変える極超音速滑空体の技術だ。